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【野球】国際大会で落球したGG佐藤氏、野球人生で唯一の後悔は…

オフィスでパソコンに向かうGG佐藤氏=東京・水道橋のトラバース東京営業所
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 WBCに日本列島が熱狂する中、“最年長侍”青木(アストロズ)に思いを託す男がいた。西武、ロッテなどでプレーしたGG佐藤(本名・佐藤隆彦)氏(38)。それは9年前の、あのプレーが脳裏から離れないからだ。

 2014年オフにロッテを退団、同年限りで現役引退した佐藤氏は、現在、父・克彦さんが社長を務める測量会社「トラバース」(本社・千葉県市川市)に就職。東京営業所(水道橋)で営業マネジャーとして約50人の従業員を束ねている。

 朝9時から夕方6時まで、社内業務をこなすうえ、作業着に着替え建設現場に足を運ぶ毎日。測量士補、2級土木施工管理技術の資格も取得した。「父がつくって残してくれた会社を守っていきたい」と、1人の営業マンとして、第二の人生を確かな足取りで歩んでいる。

 一方、多忙な仕事の合間を縫って、講演やテレビ出演も精力的にこなす。WBCを前にして、イベントなどで引っ張りだこ。殺到する理由は、やはり、あのプレーに凝縮される。11年間のプロ人生で思い出されるのは、08年の北京五輪。準決勝・韓国戦で2度の落球……。いずれも痛恨の適時失策となり、結果的に金メダルを逃したことは、苦い記憶として残っている。だが、佐藤氏はあえて、発信しようとしている。

 既に過去の記憶として心の整理がついていると思いきや、そうではない。「いまだに悔しいです。もしもう1回やり返せるならやり返したいですよ、今でも。出演した番組などで当時のVTRを見なきゃいけないことはありますけど、自ら再生ボタンを押すことはないですね。今も傷は癒えていない。何回映像見ても落とすじゃないですか。そりゃ今から捕れるわけないけど。何回も落としているの見ると、本当、悔しいですよね」。

 これまでの人生で味わったことのない緊張感と重圧。「極限状態だったと思いますよ。本当に。1個エラーしたあと、恐怖しかなかったですし。『飛んでくるな、飛んでくるな』と心から思っていた。ああいう心理状況になったこと、今までないです」。失った平常心。動揺。日本中から期待された金メダルを逃し、戦犯の目が向けられることで、「もう逃げてしまいたかった」。だが、佐藤氏が最も悔いているのは、エラーではない。

 3位決定戦の米国戦で、名誉挽回の奮起に期待した星野仙一監督は、佐藤氏を再びスタメン起用した。だが、「やめてくれと心の中では思いました。2つエラーした時点で、もう気持ちが切れてしまっていた。もう使われることはないと思って決めつけてしまって、何も準備していなかったんです。金メダルしかいらないと思って乗り込んだのに、自分のエラーのせいでそれが途絶えて、もう終わったと思ってしまった。スタメンと聞いて、そこから慌てて準備しても、うまくいくわけがなかった」。前日に犯したミスの大きさから失意のどん底にあった佐藤氏は、もはや「次」が考えられなかった。ショックと動揺を引きずったまま臨んだ米国戦で、再び落球。またも適時失策を犯してしまう。

 佐藤氏は言った。「去年、リオ五輪を見ていて、改めて強く思ったんです。あのとき、金を逃しても、銅メダルでもいいから取りに行くべきだった。どんなに落ち込んでいても、気持ちを切り替えてしっかり準備すべきだった-。これが、野球人生での唯一の後悔です」。プロとして、野球人として、ベストを尽くせなかったことが、今も胸に引っかかっている。

 日の丸の重みを嫌と言うほど味わった男。「自分がミスをしたことで、反面教師というか、小久保監督も守備の使い方とか多少気を遣うこともあるかもしれない。そういう意味では、ああいうことも起こり得るというひとつの出来事として、後世に伝える、じゃないですけど、自分はそういう役割なのかなと思ったりします」。2月末に行われた侍ジャパンの宮崎合宿では、トークショーにゲスト出演。キューバ戦が行われた7日、オーストラリア戦が行われた8日には、都内でWBC応援イベントに参加し、野球ファンとともに盛り上がった。

 9年前、ともに北京五輪でプレーした青木は、今も日本代表として世界の頂点へと挑んでいる。佐藤氏は神妙に話した。「あのとき一緒に戦った仲間が、唯一残っている。青木が金メダルを取ってきてくれれば、僕の傷も癒えるような気がする」。そして、日の丸戦士たちに向け、心の底から願った。「最高の準備をしてほしい。ベストの準備、ベストの気持ちで、ベストを尽くして欲しい」-。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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