【サッカー】G大阪に必要な挑戦者の心

 昨季の3冠覇者・G大阪は、リーグタイトルにはあと一歩、手が届かなかった。残すタイトルの天皇杯へ、G大阪に必要なものは何なのだろうか。

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で4強、ナビスコ杯準優勝、リーグ準優勝、天皇杯は8強入り(26日に準々決勝・鳥栖戦)と、一定の結果を残している。ただ、結果として惜しいところまでいきながら、タイトルだけが取れていない。選手の間でも、決勝に2度立っている=タイトルを取るビッグチャンスが既に2度あった中で、それをつかめなかったという後悔の念は大きい。その大きな原因は“タイトルはとれるもの”という錯覚ではないだろうか。

 昨年からサッカー担当を務める記者は、就任初年度にいきなりG大阪の3冠を目の当たりにしたした。今振り返ると、恥ずかしながら正直、タイトルの重み、すごみを分からないまま3冠を伝える原稿を書いたように思う。遠藤がよく口にする「タイトルを取るのは簡単ではない」という言葉の意味を今季になって、ようやく記者自身も痛感している。

 失礼ながら、その難しさを感じているのは選手たちも同じではないか。昨季の3冠は運もあったが、G大阪は強かった。特に記者として見ていても終盤は負ける気がしないほどだった。しかし、その自信から、今季のチームには良くも悪くもタイトルは“取れるもの”だという認識が生まれてしまったように思える。

 3冠王者としての自信はACLでは中国の強豪・広州恒大に、ナビスコ杯では鹿島・小笠原のたくみなゲームコントロールや試合巧者ぶりに、そしてCSでは自滅した部分もあるが広島の総合力に打ち砕かれた。J1復帰の初年度だった昨季、G大阪を支えていたのは挑戦者としての心だったはずだ。

 昨年はW杯によるリーグ戦の中断期間を16位で迎えた。選手は「もうあんな悔しい思いはしたくない」と口をそろえ、その思いが中断明けの快進撃の原動力になった。シーズン終盤で首位が視界に入っても、「僕らは勝つしかない」と慢心のかけらすら見せなかった。

 MF遠藤はCSで敗れた後のミックスゾーンで「年間を通して1番勝ち点を稼いだチームが1番強いチーム。もし僕らが優勝していたら、心の底から本当に喜べたかは微妙」と話したが、誰よりもタイトルへのこだわりが強いのも遠藤。隠しきれなかった悔しそうな表情は印象的だった。残すタイトルは天皇杯ただ1つ。惜しいシーズンでは終われない。挑戦者の心を胸に、天皇杯にぶつかってほしい。(デイリースポーツ・國島紗希)

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