田中亮明が銅メダル「最高の景色でした」 準決勝で敗れても悔いなし

 1回、パンチを出す田中亮明(撮影・堀内翔)
 3回、相手を投げるようなしぐさを見せる田中亮明(撮影・堀内翔)
 3回、攻められる田中亮明(左)=撮影・堀内翔
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 「東京五輪・ボクシング男子フライ級・準決勝」(5日、両国国技館)

 男子フライ級準決勝が行われ、田中亮明(27)=岐阜・中京高教=がカルロ・パーラム(フィリピン)と対戦し、0-5判定で敗れた。3位決定戦がないため、銅メダルが決まった。フライ級では、日本人初の五輪メダリストとなったローマ五輪銅メダルの田辺清以来、61年ぶりのメダルとなった。

 アグレッシブにしかける相手に、田中はワンツー、ボディーを中心に対抗。「今大会は一歩も引かないと決めていた」と言うとおり、最後の最後まで攻め続けたが、相手のスピードが上回り有効打につなげられなかった。

 勝利に泣き崩れるパーラムを抱き起こし、ていねいにお辞儀してリングを降りた田中は「最高の気分です」と晴れ晴れした表情。「試合の反省は一切ない。負けたけど自分との戦いには勝てて、気分は悪くない」と語った。

 16年リオデジャネイロ五輪は、世界最終予選で敗れて出場権を得られなかった。一度は引退を視野に入れたが、周囲の支えで現役を続行。コロナ禍の1年半は、プロで元3階級制覇王者、田中恒成(26)=畑中=とともに練習を積んできた。

 日本男子最速となるプロ5戦目での世界王座獲得や3階級制覇などの偉業を成し遂げてきた弟。「七光で注目されてきた」と話したこともあったが、教員と二足のわらじで競技を続け、自らの力でつかんだ銅メダルだ。弟とは違う山の高みから見た景色は、「最高の景色でした」と最後まで笑顔だった。

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