「東京五輪・体操男子種目別鉄棒・決勝」（３日、有明体操競技場）

　個人総合で日本勢最年少優勝を果たした橋本大輝（１９）＝順大＝がただ１人１５点台となる１５・０６６で金メダルを獲得。個人総合との２冠を達成し、団体銀と合わせて３つ目のメダルを獲得した。

　「いつも通りを出すために準備してきて今大会はそれがうまくいって。成績としては団体金メダルを獲りたかったんですけど、それ以上にこの大舞台でミスなく１８演技出せたことは今後の体操人生に生きてくると思った。今大会を通じて成長したなと感じました」と納得の五輪を振り返った。

　１９歳がエースの貫録を示した。序盤のカッシーナに始まり、離れ技をすべてこなした。着地もピタリと決める。落下する選手が目立つ中、ミスのない完璧な演技。着地して広げた腕の両拳を握り締め、納得の表情を浮かべた。得点が表示された瞬間ガッツポーズを見せた。

　「スペシャリストが集まる中でいつも通りを出すことは難しいと思っていて。実際に落下する選手が多くて。多くの選手が攻めてきている中で、自分はいつも通りを出すだけになってしまったので。でもその結果きょうはしっかり通し切れて金メダルを獲得できたっていうのは、すごく大きな経験になったと思う。最後着地も決まって良かったです」と話し、「最後は絶対に着地勝負になってくると思ったので、気持ちを引き締めて止めにいって。最後止まって良かったです」と強調した。

　五輪での個人種目２冠は１９８４年ロサンゼル五輪の具志堅幸司以来３７年ぶり。尊敬する内村航平も達成していなかった快挙だった。

　「航平さんをずっと目標にしてやってきたので、まだ越せているかは分からないんですけど、間違いなくこの場（決勝）にいたら金メダルを獲ると思う。早く追いつき追い越せるように頑張りたいです」と大きな目標としてその背中を超える思い。そして、世界王者の称号を得て、次に臨む。「追われる立場になると思うんですけど世界チャンピオンとして譲らず、気持ちも奢らず、しっかり自分の理想の演技を突き詰めて、また世界一を取り続けていきたいと思います」。新たな王者として君臨する思いだ。

　◆橋本大輝（はしもと・だいき）２００１年８月７日、千葉県成田市出身。２人の兄を追って６歳で佐原ジュニア体操クラブで競技を始める。市船橋高３年の１９年世界選手権で、男子では白井健三以来２人目の高校生代表として団体総合の銅メダル獲得に貢献した。個人総合で今年の全日本選手権、ＮＨＫ杯を初めて制した。好きな食べ物は焼肉。１６６センチ、５７キロ。