まさか敗退に向翔一郎は自虐「笑ってもらった方がいい」 柔道男子・金5日目で途切れた
「東京五輪・柔道男子90キロ級・3回戦」(28日、日本武道館)
日本代表の向翔一郎(25)=ALSOK=は、3回戦で21年世界選手権3位のトート(ハンガリー)に6分55秒、大内刈りで一本負けした。敗者復活戦にも回れずメダルなしが確定。日本男子は初日から4階級連続で金メダルが続いていたが、5日目に途切れた。
向は初戦は快勝したが、2回戦はゴールデンスコアの延長戦で、相手を抱え込んで捨て身技を狙ったところに大内刈りを合わされてしまい背中から倒された。映像確認の結果「一本」判定。不服そうに手を広げたものの、万事休した。
強豪ぞろいの激戦区の階級とあって苦戦は必至だったが、持ち味の爆発力を発揮することができなかった。向は「これが勝負の世界。どっちに転んでもおかしくない。本能のままに戦ったが、結果につながらなかったことは仕方ない」と、すがすがしく負けを認めた。
前日まで4階級連続で金メダルが続いていただけに重圧が懸かっていたことが推し量られるが、「皆さん思っていたと思います。そろそろ向がやらかしそうだなって。笑ってもらった方がありがたいです」と自虐し、負けた直後とは思えないほど笑いを誘った。
ただ、取材エリア気丈に振る舞っていた向だったが、日本男子の井上康生監督(43)は「彼なりに代表としての自覚、責任を持って(取材で)話していたと思うが、やっぱり控え室では号泣していました」と告白。「(五輪に)すべてを懸けていたと思う。勝たせてあげたかった」と声を詰まらせた。
柔道界の異端児にとって、初の大舞台は苦いものとなった。