ワリエワは「僕が判断をしたら(暫定資格停止の)原則を守る」 CAS仲裁人が見解
ドーピング検査で陽性反応を示したカミラ・ワリエワ(ROC)が北京五輪で参加継続を容認された問題で、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定に詳しい早川吉尚弁護士が16日までに取材に応じた。CAS仲裁人でもある同氏は、自身が今回のケースを担当していれば逆の判断をしていただろうと明らかにした。
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-裁定のポイントは。
「(禁止薬物の)トリメタジジンに陽性反応が出た時には、規定上は暫定資格停止が義務的に科される。ただ16歳未満の選手への暫定資格停止について世界反ドーピング機関(WADA)規定には何の条文もない。従って解釈論になった。(現時点で)悪質性が疑われるような状態ではないことや、異常なまでに結果通知に時間がかかっていることなどを総合的に勘案し『選手保護』の方に倒れたということだ」
-妥当な判断か。
「もし僕が今回仲裁判断をしたら、(義務的な暫定資格停止という)原則を守る方を選んだと思う。16歳未満だからと言って例外をつくるべきではないと思う。今回は3人の仲裁人のうち1人、非常に選手保護の考え方で有名な人がいる。その人が入っているので、こういう結論もあるかなと思った」
-今後の展開は。
「今回は『仮』の措置で、15日からの試合に出てもいいか、駄目か、という部分だけが判断されている。なぜワリエワの検体に禁止物質が入ったのかについては、何も判断されていない。従って彼女が禁止物質を意図的に服用していた事実が今後の手続きで分かれば、メダルを取っても失効する可能性もある」