鍵山、銀メダル 世界歴代3位310・05点!元五輪選手父・正和コーチの悲願かなえた

 フリー演技を滑る鍵山優真(撮影・堀内翔)
 得点を聞き喜ぶ鍵山優真。左は父・正和さん(撮影・高部洋祐)
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 「北京五輪・フィギュアスケート男子・フリー」(10日、首都体育館)

 男子フリーが行われ、SP2位の鍵山優真(18)=オリエンタルバイオ・星槎=がフリー201・93点、合計で自己ベストを更新し、世界歴代3位となる310・05点で銀メダルを獲得した。団体に続いて、今大会2つ目のメダル。92年アルベールビル、94年リレハンメル五輪代表の父正和コーチ(50)が届かなかった個人でのメダルに輝き、銀盤のホープが最高の親孝行を果たした。

 全力で駆け抜けた4分間を終えると、鍵山は万感の表情で氷上にひざまずいた。史上最高のハイレベル決戦に挑んだ18歳。五輪に2度出場した父の正和コーチとたどり着いた夢舞台で、堂々の銀メダルをもぎとった。

 「この数年間、五輪を目指してきたすべてがつまった銀メダル。全力でやれた」と、誇らしげに胸を張った。

 団体戦フリー、SPと若さと勢いあふれる滑りを見せ、自己ベストを更新。五輪を「楽しんでます!」と笑顔いっぱいで話していたが、フリーの前は重圧を感じ取った。

 「この演技ですべてが決まる」。それでも演技前、父から「自分のやりたい演技をしてこい」と送り出され、飛びだしていった銀盤。4回転ループこそ着氷が乱れ、手をついてしまったが、「戦いに向かう勇気」がテーマのフリー「グラディエーター」が描く剣闘士の物語を躍動的に演じきった。

 目元がそっくりな父子。二人三脚の歩みに、苦難が訪れたこともある。ジュニア時代の18年6月、正和コーチが脳出血で倒れて入院。1人で練習を考える時間が増えた。ただ、当時15歳の若武者には、もう父から受け継いだスケーター魂が宿っていた。「嫌でも自分1人でなんとかしないといけなかった。何が足りないか考えた」。当時はトリプルアクセルが課題。父の教えを思い返しながら、コース、タイミングすべて自分で考えて、ものにしていった。半年後に復帰した父の前には、グッと大人になった息子の姿があった。

 父は理想のスケーターだ。鍵山を中学時に指導したコーチの佐藤操さんは笑いながら振り返る。ある日、鍵山が「今からすごいのを見せます。格好良いでしょう」と動画を見せてきた。それは正和さんの現役時代の動画。「父の自慢をする子どもを初めて見た」。キラキラと光る瞳で偉大な背中を追っていた。

 初出場での銀メダル。躍進が続く日本男子の新時代の旗手として、確かな足跡を残し、初の五輪を二人三脚で戦った父に、団体と合わせて二つのメダルをプレゼントした。「いい親孝行ができたんじゃないかなと思います。メダルを掛けてあげたい」。若きホープが銀盤に描く物語は、まだ始まったばかりだ。

 「自分はもっと上に上がれる。まだまだやれるぞ、と思った」。銀色の輝きで幕を閉じた18歳の五輪冒険譚(たん)は、黄金の頂に挑む第2章へと続いていく。

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