ネーサン・チェン SP世界最高113・97点 4年前の悪夢振り払う異次元の首位発進

 「北京五輪・フィギュアスケート男子・SP」(8日、首都体育館)

 男子ショートプログラム(SP)で、世界選手権3連覇のネーサン・チェン(22)=米国=が世界最高の113・97点でトップに立った。30人がエントリーし、上位24人が10日のフリーに進んだ。

 悪夢を振り払う、王者の舞だった。世界選手権3連覇王者のチェンが、羽生の持つ世界歴代最高得点を更新する異次元の演技で首位発進。SP17位と出遅れ、メダルを逃した4年前の平昌五輪のイメージの払拭(ふっしょく)に成功し、演技後は珍しく右拳を振り下ろしガッツポーズ。すべてのジャンプで大幅な加点を引き出し、「ものすごく満足している。4年前のSPはうまくできなかったから。ガッツポーズはあんまりやらないんだけど、ハッピーがそのまま表れた」と、魅惑のダンディーボイスで喜びを語った。

 激戦が予想された五輪王者の羽生がSP8位とまさかの出遅れ。4年前の自身と重ね合わせるように「五輪では、計画通りにいかないことはある」と話した上で「それでも彼が2度五輪王者になっているのは、彼ゆえ。これからもフィギュアのアイコンであり続けるし、史上最も偉大なスケーターの一人。誰も彼の立場を奪えない。結弦と一緒の時代に、一緒に滑ることができるのはうれしい」と敬意を示した。

 米国の誰よりも早く1月下旬に現地入りした。今大会はしっかりと地に足がついている。「こっちにきてしばらくたつから洗濯しないといけない。部屋も片付けないと」と笑ったチェン。自身のルーツがある北京での戴冠劇はもう目前。響き渡る低く渋い声に、揺るがぬ自信がにじんだ。

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