ガチャピンに憧れたトランポリン・伊藤 ぎっくり腰乗り越え2大会連続入賞の6位

 「リオ五輪・トランポリン男子個人」(13日・リオ五輪アリーナ)

 ロンドン五輪4位の伊藤正樹(27)=東栄住宅=は決勝で58・800点をマークし、6位に入った。1カ月前の試技会でぎっくり腰を発症。出場が危ぶまれたが、奇跡的な回復で2大会連続の入賞を果たした。

 瞳には4年前と同じく涙が浮かんだ。ただ、その意味は違った。「4年前は悔しくて泣いた。でも今回はホッとした気持ちが強くて。自分の力は出せた」。この壮絶な1カ月を振り返り、納得したようにうなずいた。

 1カ月前に試技会でぎっくり腰を発症。トランポリンの上に倒れ込み、車いすで医務室に運ばれた。「頭が真っ白になった。今までもやったことはあったし、1カ月は間違いなく掛かると思った」。3日間音信不通となり、知人を介して中田大輔コーチに告げた。「次の選手に(代表を)譲ってください」-。ただ、周囲は誰も諦めてはいなかった。中田コーチは「譲ってくれって言ってると聞いて、正直腹が立ったけど。『絶対こいつを五輪に立たせる』って決めた」。強化部内でプロジェクトチームを立ち上げ、五輪まで1日1日の練習計画を立てた。帰ってきた伊藤にそのプランを提示。伊藤は「もう一度金メダルを目指す戦いをしよう」と、気持ちを奮い立たせた。

 奇跡的な回復で立った五輪の舞台。演技難度は落とさざるを得なかった。万全ならメダルに届いたかもしれない。悔しさがないと言えばうそになる。ただ、伊藤は言った。「すがすがしい思いでいます」-。

 憧れは人気キャラクターのガチャピン。スキーやロッククライミング、体操にフィギュアスケート、はたまたヒマラヤ登頂や、宇宙飛行と子供番組の1キャラクターを超え、不屈の闘志でさまざまなことに挑戦する“スーパーアスリート”に羨望(せんぼう)のまなざしを送った。

 「ここに来られて、演技ができてうれしかった」。伊藤がみせた魂の演技は、憧れの存在のようにきっと子供立つの心を打ったはずだ。

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