『大阪・関西万博』を建築で振り返る「NTTパビリオン」「大阪ヘルスケアパビリオン」編
『大阪・関西万博』が閉幕して3ヶ月が経ち、パビリオンや施設について、残されるもの・解体されるもの・移築されるものが見えてきた。各パビリオンの設計者たちが万博に関わり始めた当初は、万博開催への風当たりが強く、開幕まで時間がない状態。さらに資材の高騰が追い討ちをかけた。建物が利用されるのは半年間という期間限定のなかで、それぞれの立場で何を優先し、どんな工夫をしたのか。そして、各パビリオン建築に込められた願いとは…。『大阪・関西万博』のパビリオン建築を振り返ります。
「NTTパビリオン」、「大屋根リング」、「森になる建築」、「大阪ヘルスケアパビリオン」、「日本館」、「全体のランドスケープ」と「静けさの森」、「フランス・パビリオン」に携わった設計者7名が、「日建設計」大阪オフィスで開催された『万博から生まれた可能性とこれからのまち・建築について』(11月27日開催)で万博振り返った。そのトークの中から、3回に分けて各パビリオン建築について紹介する。【中編】では、「NTTパビリオン」「大阪ヘルスケアパビリオン」を取り上げる。
◆ 風がふくと「スイミー」のように…「NTTパビリオン」外側にはカラフルな布がゆらめく「NTTパビリオン」を設計したのは、「NTTファシリティーズ」の畠山文聡さん。「日本建築の縁側にあるような、待機列と展示が溶け合うような関係性ができないかと、分棟方式のパビリオンとしました」
外側の布の揺らぎで、境界が曖昧になる効果を狙う。デジタルを外側の銀色の布で表現し、風がふくと「スイミー」(レオ・レオニ作の魚を描いた絵本)のように全体がブワッと動くようになっている。
「建物がデジタルを表現することができれば、デジタルとリアルの関係性を超えられるのではないかと考えて模索しました。また全てのものが溶け合うような多様な振る舞いが大切だというメッセージをパビリオンに込めています」と明かした。
◆ 水、光、木が循環する建築「大阪ヘルスケアパビリオン」晴れていても透明の屋根から水がドバドバと流れ落ちていた「大阪ヘルスケアパビリオン」を設計したのは、「東畑建築事務所」の平野尉仁さん。開催都市の大阪府市を中心としたパビリオンだったため、メインテーマ「リボーン」をもとにプロポーザル(公共事業などで設計提案やその考え方をもとに設計者を選ぶ方式)で同社が受注した。
「大阪は水と木に支えられた都市であることから、多様な屋根のもとに、水、光、木が循環する建築を設計しました。まず水は、雨の日に溜めた雨水を循環濾過して屋根から散水しています。それを均一に水の膜ができるように屋根に流して、屋根の先端からは水柱で水盤に落ちる。そしてまた循環濾過してという水の循環システムです」
特徴的な透明な膜屋根は、ETFE(高機能フッ素樹脂)やリサイクルパルプから作られた「和かみシェード」の軽い素材が使われている。「透明屋根をガラスで検討していた時もありましたが、半年の寿命のパビリオン建築としてちょうど良い形に落ち着いたと思います」(平野さん)
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【後編】では「全体のランドスケープ」と「静けさの森」、「フランス・パビリオン」を取り上げる。
取材・文・写真(一部)/太田浩子
(Lmaga.jp)
