「万博」で日本初上演、60周年「サウンドオブミュージック」ユネスコ無形文化遺産・オーストリアの人形劇団
開催中の「大阪・関西万博」に、映画公開60周年を記念して『サウンド・オブ・ミュージック』が登場。ユネスコ無形文化遺産に登録されている、オーストリアの「ザルツブルク・マリオネット劇場」が、9月25日に2公演を上演した。当日は、観覧希望の来場者たちが、会場の「フェスティバル・ステーション」に詰めかけた。
現在、万博会場では、『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台となったオーストリアが、五線譜をモチーフにしたユニークな外観が目をひくパビリオンを出展。音楽にまつわる展示や、イベントを数多く開催している。
◆ アカデミー賞で5部門を獲得、不朽の名作『サウンド・オブ・ミュージック』そんな音楽の国・オーストリアを舞台にした、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』は、1959年に初上演。その後、1965年に同名のミュージカル映画が、ロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演で公開されると、世界的に大ヒット。第38回アカデミー賞で5部門を獲得するなど、不朽の名作として知られる。
物語の原作は、マリア・フォン・トラップによる自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』。日本では、同じ原作を持つ作品として、アニメ『トラップ一家物語』(フジテレビ系列「世界名作劇場」17作目)が、1991年に放送され、また過去には、「劇団四季」や「東宝」による日本版のミュージカルも数多く上演されているので、ストーリーになじみのある人も多いはず。
そんな『サウンド・オブ・ミュージック』、本国オーストリアでもやはり大人気。112年の歴史を持ち、モーツァルトのオペラ『魔笛』など、数多くのレパートリーを持つ「ザルツブルク・マリオネット劇場」の上演演目の中でも、特に人気の高い公演のひとつだ。
万博での公演は、「ザルツブルク・マリオネット劇場」にとって、久しぶりの日本公演。大阪では、1958年以来と、67年ぶりの公演。さらに、『サウンド・オブ・ミュージック』は、日本では初上演という大変貴重な公演となった。
◆ 「まるで小さな人」50体の人形が小さなステージで繰り広げる、壮大な物語幕開き直後、修道女たちの掃除のシーンから、びっくり。膝まずいて「ぞうきんがけ」をしている様子は、とてもなめらかで、ぱっと見では人形とは思えない。人形も、そのドレスや、アクセサリーや小物まで、全て劇団で手作りしているというから驚きだ。
笑い、泣き、踊り、歌う約30センチの小さな人形たち。10名の人形遣いたちが、50体を操って繰り広げる、壮大な物語に、集まった観客たちは、真剣に見入っていた。
この日の公演は、2幕約2時間(途中休憩あり)、全編英語での上演だったものの、筆者は映画やミュージカル版を過去に観ていることもあって、内容は全く問題なく理解できた。
時代に翻弄されながらも、逆境に立ち向かう主人公マリアの活躍とともに、何度もリプライズされる表題曲『サウンド・オブ・ミュージック』や、『すべての山に登れ』などの美しいナンバーに感動。また、あらすじを知っていても、どんどんストーリーに引き込まれてドキドキの連続で、『ドレミの歌』や、『エーデルワイス』『私のお気に入り』『もうすぐ16歳』など、いずれのナンバーも一緒に口ずさみたくなってしまう。
途中、マリア(人形)と、修道院長(人形でないリアルな人)が、向かい合ってセリフを交わす、修道院のシーンもあり、とても良いアクセントに。
人形一体一体が、子どもは子どもらしく、老人は老人らしい、リアルな動きでお芝居をする。終盤には、マリオネットが、マリオネットをさらに手元で操るという、すごいシーンも。一人前の人形使いになるには、最低8年くらいはかかると言い、さすがユネスコ無形文化遺産。すごい職人技だ。
こだわりを感じる背景やセット、そして空を舞ったり、飛び出てきたりといった、実写のミュージカルや映画よりさらに自由度の高い、人形劇ならではの、演出も楽しい。人形劇と聞くと、子どものためのもの、というイメージがあったが、老若男女誰でも満足できる内容だと感じた。
ラストシーンでは、人形たちを上部から、巧みに操る人形遣いたちの姿をお披露目。「こんな形で、人形を操っていたのか!」と、観客たちがどよめき、その後、ステージ前に現れたスタッフたちに、スタンディングオベーションが送られた。終演後は「本当にすごかったね~」と言う声があちこちで上がっていた。
「ザルツブルク・マリオネット劇場」は、この万博での公演以外に、長野県松本市でも公演。「松本市音楽文化ホールメインホール」 では、9月29日、30日に3公演を開催。大人(高校生以上)当日4500円、中学生当日2500円、大人同伴の小学生以下は無料。(0歳から入場可能)
「ザルツブルク・マリオネット劇場」の常設劇場のある、オーストリア・ザルツブルグでは、映画公開60周年の今年、多数のイベントを開催し、盛り上がりをみせているという。映画のロケ地となった「ヘルブルン宮殿公園」に、2026年夏頃「サウンド・オブ・ミュージック博物館」が開館されることも発表されている。根強い人気のモーツァルトや、ハプスブルク家ゆかりのスポット巡りに加え、そちらにも注目だ。
取材・文・写真/Lmaga.jp編集部
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