明日海りお、デビュー20周年は「挨拶回りをするという感覚」

ひとたびステージに立つと圧倒的な求心力で観客の心をとらえる、元宝塚歌劇団花組トップスターの明日海りお。関西では約2年ぶりの舞台となる『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』に出演する。

今年20周年という節目を迎えた明日海に、宝塚音楽学校に入る前から現在までの心境、美のカリスマ、エリザベス・アーデンを演じる意気込み、退団後の芝居の変化、こだわりの美容法についてなどじっくり訊いた。

取材・文/小野寺亜紀 写真/Ayami

■ 「パパはいつでも1番の味方だから」──2003年の初舞台から20周年の今、どのようなお気持ちですか。

10年目ぐらいまでは先輩の方々がたくさんいらっしゃるなか、芸事以外にもやることが多くて、結構記憶喪失なところがあって(笑)。でもだんだんファンの方が増え、小さな劇場で主演をやらせていただいたり、組のなかで羽根を背負わせていただいて・・・と歩んでくることができ、本当に周りの方たちのおかげだなと思います。

宝塚を卒業し模索している時期もありましたが、20年と聞くと、それだけ長い間やってきたんだなと感じます。私のなかでは「20」というより「17プラス3」、まだ3年生という気持ちのほうが強いです。

──宝塚歌劇団を卒業されてから3年以上、舞台出演をはじめ、ドラマでは朝の連続テレビ小説『おちょやん』(NHK)や『大病院占拠』(NTV)など多方面で活躍されていますね。

やっぱり健康が大切。公演自体が中止になったことはあるのですが、私自身休演したことは1回もないんです。「うわ~どうして!?」というつらい時期も、なんだかんだ立ち直れて、心も病むことなく今にいたるので、そういう意味でもご一緒させていただいた方々、応援してくださった皆さまに感謝を還元する年と言いますか、挨拶回りをする年、という感覚です。

──おかえしする年だと。ご両親を説得し、中学3年で宝塚音楽学校を受験されたのですよね。ご両親からいただいた忘れられない言葉などありますか?

両親は最初受験にとても反対していたのですが、合格が決まり宝塚の寮に入ることになり、実家で過ごした最後の日に、父が初めて「いつでも1番の味方だから」と言ってくれたんです。普段無口で、絶対そんなこと言う父じゃないのに。

──よほど想いを伝えたかったのでしょうか。

そうですね、グッときました。そして、お箸の持ち方にずっとクセがあった私に、「これからは外に出て、目上の方と食事をすることもあるだろうから絶対直しなさい!」と、その日に直されました。でも何年か経って「あれ、いつお箸ちゃんと持てるようになったの?」と言われて、いやー、お父さんに教えてもらったんだよ!と思いました(笑)。

──宝塚退団後のご活躍も喜んでいらっしゃいますか?

父も母もすごく喜んでくれています。ドラマや配信などは出向かず家で楽しめますよね。それでテレビにつなげる機器なども充実させて観てくれています。

■「カリスマ性があり、人を引っ張る力が必要な役」──今はミュージカル『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』のお稽古中ですが、この作品の魅力、惹かれるところは?

やはり化粧品を扱う、「美」にこだわる2人の物語なので、自ずと舞台空間や衣裳もおしゃれになるでしょうし、まず女性の方に喜んでいただけると思います。そして20世紀前半という、男女格差が今よりもずっと大きかった時代に、女性経営者として第一線を走り続けた2人が、時代の変化の波にもまれ、自身も歳を重ねて・・・というように衰退していくところがおもしろいです。

このように自分の人生に向き合うことは誰でもあると思うので、そういう意味では男性の方にも観て楽しんでいただきたいです。

──ブロードウェイでは大女優のクリスティン・エバーソールとパティ・ルポーンが、ともにトニー賞ミュージカル主演女優賞にノミネートされた画期的な作品。日本初演となる今回は、『マイ・フェア・レディ』など数々の作品を手掛けるG2さんが翻訳・訳詞・演出されます。

G2さんとは「初めまして」なのですが、最初の本読みで、とても細やかに作っていかれる方という印象を受けました。1つひとつの場面を取り出し、「この背景にはこんな話があった」みたいに、丁寧に進めてくださるので、これからの稽古が楽しみになりました。

──明日海さんはもともと「芝居の月組」と言われる月組ご出身で、とてもお芝居が好きな印象があります。退団してから芝居の取り組み方で変わった部分、変わらない部分などありますか。

ドラマは共演者の方たちとガッと集まり撮っていくという集中力、そこで起こる化学反応のおもしろさがあります。舞台には、時間をかけてコミュニケーションを取りながら何回も繰り返したり、全体像ができあがってからまた場面を抽出して考え直したりすることができます。

女性を演じるというのでは、ドラマと舞台ではまた違うなと感じますし、どのあたりの時代の話なのか、どのぐらいのコスチューム感なのか、というのでも演じる塩梅が違うなと思っています。

──今回の舞台は時代が少しさかのぼりますし、演じられるエリザベス・アーデンは実在の人物でもありますね。

台本を読み進めると、とても引力のある人。 パワフルでカリスマ性があり、人をぐいぐい引っ張っていく力が必要だなと感じます。結婚し家族をたくさんもって・・・というのではないところに自分の道を見出し、美を追求するこだわりがあり、意思の強い人だなと思います。

──トップ時代の経験も活かせそう?

そうですね。あと、タイトルに「VS(バーサス)」とあるように、全編通して怒っている場面が多く、体力がいるなと思います。普段の生活でそんなに怒り続けることってないですよね? 私が何でも言い合えるのは母ぐらいで、電話で「今、ちょっと忙しいから」とか言っちゃうときもありますが、普段は「落ち着いていこう」というスタンス。エリザベスは相手に敵意をむき出しにするエネルギーが、グツグツとある女性です。

■ 「キャッチする力とセンス、それを形にする力を蓄えていきたい」──ヘレナ・ルビンスタイン役の戸田恵子さんとは初共演ですね。

稽古ではいろいろ経験されてきたからこその説得力と深みがあって。「ミュージカルはやることがいっぱいでもう大変」とおっしゃるのですが、本読みをしたら誰よりもパワフルで、戸田さんだけ明日初日でも大丈夫じゃないかというぐらい素敵なんです! テスト勉強やってない、というのを信じちゃいけないあの感じで、だまされないぞと思いました(笑)。

──(一同笑)。戸田さんといえば以前、同作品の取材会で明日海さんの「美」に太鼓判を押されていましたよね。そのとき、明日海さんご自身、美容や健康に関するものをいろいろ試されてきたとおっしゃっていましたが、特に良かったものは?

もうやり過ぎて・・・うーん、何があったかな(笑)。

──1日のルーティンなどありますか?

朝起きたらだいたいバナナを食べてカリウムを摂取し、むくみをとります。昔は牛乳を飲んでしまっていたのですが、今はなるべく豆乳を飲み、イソフラボンを摂って。あとはお水をいっぱい飲んで、汗をかくことですね。

──やはり体を動かすのが大事だと。

はい、体を動かすと1番体の調子が良くなりますし、心の調子も良くなる気がします。家ではストレッチやヨガ、軽い筋トレをして、外ではジムやダンスのレッスン、ピラティスやマシンを使ったジャイロトニックなど、うまいこと組み合わせて。

やっぱり筋(スジ)が固まるとだめで、全身につながっているので顔がゆがんだり、たるんだりしますし、血行が悪いと肌がくすむので、血行を良くするのを意識しています。

──本作は化粧品ブランドを立ち上げた女性2人のライバル関係が主軸ということで、「美」という観点からも楽しみにしています。では最後に、明日海さんの今後の展望を伺えますか。

まだまだ女性を演じることに不慣れなので、学びたいことがいっぱいありますし、ジャンルにとらわれず、いろんな経験をどんどん積んでいきたいです。そしてドラマやミュージカルなどさまざまな分野で、「こういうものが求められているな」とキャッチする力と、「では私はこうするのが1番いいな」と思えるセンスを磨き、それを形にする力を蓄えていきたい。応援してくださっている方には、「やっぱりこういうのを見せてくれるのが明日海さんだよね!」と、信頼をもっていただけたらうれしいです。

ミュージカル『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』は、5月27日~29日に「森ノ宮ピロティホール」、6月8日~13日に「京都劇場」で上演される。チケットは1万4500円、現在発売中。

(Lmaga.jp)

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