関西弁の神馬を取り巻くトラブル、宮司が苦慮「尊厳をもって接して」

2019年8月24日にTwitterアカウントが開設されると、関西弁でのつぶやきが話題を集め、瞬く間に1.6万人ものフォロワーが付いた「吉川八幡神社」(大阪府豊能郡)の御神馬「いづめ」(通称いづたん・オス2歳)。彼と一緒に暮らす「おかあさん」こと久次米(くじめ)宮司に、いづたんへの思いなどを訊いた。

「だっておれも神職やで? へなちょこやけどな。がんばるわ」と擬人化されツイートするいづたん。彼の暮らしは、朝一番に神社から能勢電鉄・妙見口駅間をおかあさんと散歩することから始まる。そして散歩後は、「禊ぎ」をしてから境内に入るという神職らしい毎日を送っている(馬は光や音に敏感で臆病なため、フラッシュでの撮影禁止。また穢れが付くため勝手に触る事も不可)。

彼らの出会いは、6月13日。いづたんは、八幡大神の御遣いとして「吉川八幡神社」に引き取られた。今でこそTwitterで楽しく暮らす様子をつぶやいているが、「実は元の牧場では初期調教がままならないほど集団生活に馴染めず、人を寄せ付けない性格だった」という。

久次米宮司が「将来的に流鏑馬(やぶさめ)に」と、八幡大神の御真影と同じ川原毛という淡い亜麻色にこだわって迎え入れた、日本在来馬(和種)のいづたん。当時ブリーダーから、「品種としては希少だが、協調性に欠けており、性格的な問題で御神馬になれるかどうか厳しい」と言われたという。

しかし、「条件に合う子なら、神様のお導きでご縁。どんな子でも最期まで愛情を持って面倒をみます」と、1カ月間泊まり込みで寝食をともにして信頼関係を築いた。「当初は鞍も付けられなかったのですが、精神的にプレッシャーをかけないようにしたら、思いがけず15日目で鞍を付け、そっと乗る事ができたのです」と振りかえる。

「尊厳をもって接してあげて欲しい」(久次米宮司)

「落ちこぼれの馬ではなく、散歩でも坂道や排水溝を怖がる内気な大人し過ぎる性格だったんですね。それが、だんだんと羽を広げ出したんです。この子にとっては、オンリーワンで接する(集団生活ではない)ここの環境が向いていたのかもしれません」と久次米宮司。今では立派なパートナーだ。

「いづめ」と名付けたとき、「(ストレス無く健康に)長生きしてと、ひとつだけ御魂に願いを込めた」と宮司。3児の母でもあり、忙しい生活のなかでのお世話だが、「この子が来てくれて、後悔はまったくないです。すごく生き生きとしています。4人目のわが子です」と笑顔を見せる。

現在は、東京ドームほどの広さがある敷地で放牧され、のびのびと暮らしているいづたん。そのため、拝観は事前予約が必須なのだが、実は話題になって以降、アポ無し訪問や無断の餌やり、神社管理地への無断立ち入りなどトラブルが増えているという。

「私にとって親子であり、神職としてパートナー。尊厳をもって接してあげて欲しい」と久次米宮司。また、宮司の長女・京香ちゃんは、「(神社管理地は)京ちゃんといづちゃんの秘密基地やから勝手に入らんといて欲しいな」と訴えかけた。

御神馬いづめの拝観やご朱印授与、宮司との面会は要事前予約。メール(yoshikawahachimanjinjya@gmail.com)のみとなり、電話での受け付けはおこなっていない。

取材・文・写真/いずみゆか

(Lmaga.jp)

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