人間国宝の作品をはじめ、備前焼の源流から現代まで100件以上を紹介、滋賀の展覧会

岡山県備前市の伊部地域を中心に生産されてきた備前焼。その魅力を紹介する展覧会『The 備前-土と炎から生まれる造形美-』が、「MIHO MUSEUM」(滋賀県甲賀市)で12月15日までおこなわれる。

備前焼は釉薬を一切使わない「焼き締め」の技法で作られるやきものだ。それゆえ窯のなかで偶然生じたさまざまな景色に特徴があり(模様の出方によって、窯変、緋襷(ひだすき)、牡丹餅、胡麻、桟切などに分類される)、古くから日本人に愛されてきた。やきものは「土と炎の芸術」と呼ばれるが、シンプルながら奥の深い備前焼は、その真骨頂と言っても過言ではない。

本展は3つのテーマで構成される。「1章 源流としての備前焼」では桃山時代から江戸時代に焼成された茶の湯の器を中心に、中世の作品も含めた44件で古備前の魅力を紹介。「2章 近代の陶芸家と備前焼」では、備前焼作家として初めて人間国宝に選ばれた金重陶陽や、古備前に魅せられて作陶に取り組んだ藤原啓ら近代の6作家・44件を、「3章 現代の備前焼」では、独自の素材と造形で表現の可能性に挑戦する現代陶芸家9名の作品61件が展示される。

備前焼は渋い風合いが魅力だが、それゆえ敬遠する人がいるかもしれない。しかし古備前から現代作家までを網羅する本展を見れば、食わず嫌いも一変するだろう。時代を超えて愛される備前焼の世界を満喫する絶好のチャンスだ。料金は一般1100円。

文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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