京都国際写真祭、注目作品は?
京都の寺院や歴史的建造物、近現代建築を舞台に行われる国際的フォト・フェスティバル『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』。今年は「Circle of Life いのちの環」 をテーマに、15会場で14の展覧会が行われています。
筆者のおすすめは、ティエリー・ブエット個展(堀川御池ギャラリー)。生まれて1時間以内の新生児を撮影した作品25点が並んでいます。くしゃくしゃの顔で笑い、泣き、きょとんとする赤ちゃんたちはまさに生命そのものですが、実はすべてが体外受精専門の病院で撮影されています。そこには生命への讃歌と共に、人為的に生命を操作することへの懐疑という、相矛盾するテーマが潜んでいます。
また、アルノ・ラファエル・ミンキネン個展(両足院/建仁寺内)は、自然と作者自身の身体が一体化した情景を写し出しており、その静けさと美に心を打たれました。
さらにもう一つ挙げるなら、クリスチャン・サルデが捉えたプランクトンの写真に、高谷史郎のインスタレーションと坂本龍一の音楽を組み合わせた「PLANKTON 漂流する生命の起源」(京都市美術館別館)でしょうか。この3展は自信を持っておすすめできます。
今年の展示を大別すると、芸術写真、報道写真、ファッション写真、学術写真、歴史写真といったところ。たとえば、難民問題を扱う「マグナム・フォト EXILEー居場所を失った人々の記録」(無名舎)や、日本の戦後を厳しい眼差しで問い続けた「福島菊次郎展」(立命館大学国際平和ミュージアム、堀川御池ギャラリー)は現在の世相と相まって強い関心を集めるでしょう。一方「コンデ・ナスト社のファッション写真で見る100年」(京都市美術館別館)は、ファッション写真の名作がずらりと並び、観客を甘美な夢の世界へと導きます。また芸術写真では、サラ・ムーン個展(ギャラリー素形、招喜庵/重森三玲旧宅主屋部)に要注目です。
文・写真/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)
