「帰りマン」を愛した団時朗さん、「ジャック」の別称にも「俺は認めてないよ」と明言 親交の芸人が悼む

 TBS系特撮ドラマ「帰ってきたウルトラマン」の主人公・郷秀樹役で知られる俳優の団時朗さんが、肺がんのため74歳で亡くなったことが24日に公表された。歴代のウルトラマン俳優らが団さんの旅立ちを悼む中、公私ともに接点のあった特撮キャラクター収集家の芸人・なべやかんが、憧れだったヒーローへの思いをつづった。

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 また悲しいニュースを目にしないといけない事態になった。団時朗さん死去!一報を聞いた時、信じられなかった。

 団さんとは後輩の役者・佐々木征史を通し、とても優しく接していただいていた。最初にお会いしたのは、映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(2008年)が公開された時のトークイベントだった。自分が司会進行をし、ゲストにハヤタ役の黒部進さん、モロボシ・ダン役の森次晃嗣さん、そして、郷秀樹役の団さん出演という、ウルトラマン作品の長男・次男・三男がそろうという豪華なトークショーだった。(ゾフィーを入れたらズレます)

 このトークショーはある意味、伝説的な内容だった。団さんに対し、円谷プロに怒られてしまう禁断の質問をした。

 「僕は帰ってきたウルトラマンを『ジャック』と呼びたくないのですが、団さんはどう思いますか?」 

 1984年から「帰ってきたウルトラマン」の事を「ジャック」と呼ぶようになったのだが、それまでは「新マン」、「帰りマン」、「帰マン(きまん)」と呼んでいた。「ジャック」は「ウルトラマンタロウ」を名付ける時に候補に挙がった名前で、「ハイジャックやカージャックをイメージする」という理由で却下され、「タロウ」になったというエピソードがある。

 自分の質問に対し、団さんの答えは痛快だった。

 「俺は認めてないよ。そんな名前を付けられたってね。タロウはウルトラの父と母の子でしょ?俺は誰の子かも分からないし、名前も付けられなかったのだから今さらだよ。だから劇中でジャックと呼ばれても俺は返事してないからね」

 会場に集まったファンからこの日一番の大拍手が起こり、まさに伝説的な日になった。トークショーでは、僕が「団さん」と呼ぶと、団さんと森次さんが「はい」と返事をする。「今の団さんは、モロボシではない方です」と言うとみんな大笑い。そんな「団&ダン遊び」もさせてもらった。

 昨年末、車運転時に横断歩道前で止まると、目の前を団さんが通過した。数日後、佐々木から「今、団さんと一緒です」と連絡が来たので電話を替わってもらい、団さんと話をした。先日横断歩道を歩いていた話をすると、わりと近所に住んでいる事が分かり、今度食事に行こうという話になったのだが…。団さんは我々を楽しませるため、芸人が好むような下ネタを話してくれるサービス精神旺盛な人だったので、そんなくだらない笑い話を聞きたかったのだが…。

 とにかく、残念でならない。寂しすぎる。もう一度、バカ話をしたかった。団さんのご冥福をお祈りします。

(コラムニスト・なべやかん)

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