ニャンコがワンコに片思い?人気猫写真家・沖昌之が熊本“ネコ島”の撮影秘話語る

 猫写真家の沖昌之さん(44)が26日、都内でトークイベントを開いた。2017年からの「必死すぎるネコ」シリーズで知られ、同シリーズの2023年版カレンダーも好調の沖さんが、今月15日から23日まで熊本・湯島で行った撮影を、作品ととともに振り返った。

 シリーズ4作で累計8万部超えの人気シリーズから34枚のパネルが展示され、愛猫家が駆けつけた会場は温和な雰囲気に包まれた。湯島は有明海に浮かび、300人ほどの島民を上回る猫が生息する小さな島で、行政が町おこしの一環で保護活動も行う。沖さんは同島を訪れたのは4回目といい「夕方に年配の方が集まって、『今のボスはあの猫らしいね』と名前を挙げて談笑していました。ゆったりとした、猫が過ごしやすそうな島です」と印象を語った。

 最初にモニターに展示したのは、散歩中の飼い犬、飼い主のおばあちゃん、そして犬に甘えたそぶりを見せる猫の作品だった。

 「猫がたくさんいる島ですが、犬を飼う人も意外に多い。表情から分かると思いますが、このワンちゃんは猫をあまり好きではない。でも猫がわざわざ顔をこすりつけてくるんですよね。もう嫌だよ、という表情が愛らしい一枚です」と説明。続けて犬のリードを猫が引っ張り、遠ざかる犬を猫が引き止めるように写る作品を紹介。「犬のリードに興味を持った猫が、たまたま前足を引っかけた瞬間を捉えられました。この引っ張り具合とか距離感が楽しいですよね」と、うれしそうに語った。

 湯島での滞在中は連日、早朝から日没まで撮り続けた。夏と違って猫が昼寝をしないため、大忙しだったという。一定の期間居続けることで、それぞれの猫の個性や特徴をつかみ、シャッターチャンスを予測し、構想を描く。魚をくわえた猫の写真を踏まえ、こう説明した。

 「いつも1週間ぐらい滞在するのは、猫の暮らしぶり、島民との関係性を見て、撮りたいイメージのタイミング、位置取りを考えるからです。例えば、くわえた魚をその場で食べるのか、自分のテリトリーに持ち帰って食べるのか。みんなにクセがあります」。

 魚をくわえて走る猫の写真は、くわえるやいなや走り出す特徴を把握していたからこそ、並走して至近距離での撮影に成功した。一方で、想定外のこともある。猫が魚をくわえてジャンプする作品だ。防波堤の先から、魚をくわえた猫が接近してきた。

 「この猫が魚をくわえている姿は初めて見たので、動線を予測して位置取りしていました。しかし予想に反して、途中でいけすに向かって跳び下りるような仕草を見せたため、慌てて近づいてカメラを構えました。魚をくわえて跳び下りるという、めったにお目にかかれないシーンに出くわして心躍りましたが、残念ながらあまり距離を詰められないまま、シャッターを切りました。島に長く滞在する中で、このコがいけすによくいることはわかっていたのですが、それでもうまく撮ることができませんでした。今度はもう少し寄って撮りたいですね。次回の宿題にします」と、少しだけ残念そうに語った。

 滞在中に約9000枚を撮影し、29万人がフォローするインスタグラムに投稿できそうな作品は800枚ほどだったという。でんぐり返り、逆上がり、屋根上の珍騒動、自販機の2ボタン同時押しなどの作品と裏話でイベントを盛り上げた。2015年に脱サラし、活動を続ける沖さん。「猫については経験を蓄積していますが、やはり分からないことの方が多い。人間と同じですね」と笑った。分からないからこそ、もっと知りたくなる。その探究心が、これからの作品にも反映されていくのだろう。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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