大正ロマンから「平成ロマン」へ

 2回に渡って失われゆく文化について語りました。文化が変わることは悪くないのですが、あまりにも急激に変化しているから、それでは日本には何があるの?ってことになりますよね。それは何かというと、僕は「ロマン」だと思います。

 「戦後70年」と言われますが、僕が好きなのはその前の大正時代なんです。たった十数年だったあの時代。明治が終わって、大正になるとステッキ持って山高帽かぶってヒゲはやすっていう、あの滑稽なアンバランスね。かっこいいですよ。男性はそういう格好で街を歩いてた。文字通りの「和洋折衷」。自分で工夫して、おしゃれしてね。そんな「大正ロマン」をもう一回、今の時代に復活できないものかと僕は思います。日本独特のね。

 でも今では日本人よりも外国人の方が日本の文化を知っている。日本にやって来る外国人の中には歴史を勉強して、日本の文化が残っているところに行きたいっていう人も多いらしいですから。それを考えたら、まず日本人が先輩たちの残してくれた文化を勉強することも大事ですよね。

 歌もそうです。一行一句、短く完結する中に情景を考えさせられるっていうのが詞ですから。かつて“うた”とは「歌」じゃなくて、ごんべんの「詞」でした。これがやっぱり、今では消されてきている。同時に活字自体がなくなっていって、人間がとても安易になってきていることが寂しいですね。活字の良さや奥深さ、それが文化の深さですから。

 戦後まだ70年しかたってないんですよ。始めの約20年で第1回の五輪が来て、2回目がもう4年後に来る。最初の東京五輪から半世紀、日本人は何をしたのかと、今みんなが考える時でしょうね。

 確かにメカもよくなったし、ITもすごく進歩しましたけど、その間に失ったものも相当ある。それは何かと言えば、まず一番は「情緒感」ですよ。心がどう感じるか、そのマインドのようなものをどう維持していくかということが生活の中でどんどん削られているということですよね。

 その情緒感を今、見直すこと。女性の時代になってきましたが、もともと女性の方が感性豊かですからね。そこから生まれる時代の感性もあるでしょうし。そういう情緒感ですよね、これからの日本で必要とされていくのは。それを言葉にすると、「平成ロマン」とでも言いますか。平成ロマン…、いいね!

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