ボブ・ディランにノーベル文学賞 歌手の受賞は初

 スウェーデン・アカデミーは13日、2016年のノーベル文学賞を、「風に吹かれて」「ライク・ア・ローリング・ストーン」など多くの歴史的名曲を世に送った米シンガー・ソングライター、ボブ・ディラン(75)に授与すると発表した。歌手の受賞は初めて。同アカデミーは授賞理由として「米国音楽の偉大な伝統の中に新たな詩的表現を創造した」と述べた。ここ数年、有力候補に挙げられている作家の村上春樹氏(67)は受賞を逃した。         

 ディランは「詞はメロディーと同じくらい重要」と語り、半世紀以上、歌詞に徹底的にこだわってきた。

 「いくつの耳があれば民衆の叫びが聞こえるのか」(風に吹かれて)「変化の風が激しいときにも、あなたの足元が強くありますように」(いつまでも若く)「一粒の砂にさえ、神の手が見える」(エブリ・グレイン・オブ・サンド)「自由の鐘が、無実の優しい魂のために鳴っている」(自由の鐘)

 アカデミーのダニウス事務局長は「偉大な詩人であり、文学賞に値する。絶えず自己を変革し、新たな個性を生み出してきた」と称賛。アカデミーのウェブサイトでも「偶像視されており、現代音楽に与えた影響は深遠」と高く評価した。

 デビューから数年はメッセージ性の強いプロテストソングを次々に発表。「古典文学や詩文が持つ知性」の息吹を音楽に吹き込んだと高く評価され、「フォークの神様」と称された。「歌詞を書かねばならないと思ったのは、私の言いたかったことを誰も書いていなかったから」と後に語っている。

 65年には3分台のラブソングが主流だったポップスで、落ちぶれた上流階級の女性を描いた6分以上の「ライク・ア・ローリング・ストーン」を発表。ラップの元祖ともいわれる「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」、LPの片面全部を使った型破りな長尺曲もあった。

 米作家ピート・ハミル氏は「イエーツやブレークのように私的で普遍的」と偉大な詩人に例え、米歌手ブルース・スプリングスティーンは「エルビスが肉体を解放し、ディランが心を解放した」、オバマ米大統領も「米音楽史最大の巨人」と称賛した。

 日本との縁も深く、78年からたびたび来日。今年4月には1カ月近いツアーを行った。ミュージックビデオに女優の倍賞美津子が出演したこともある。

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