中井貴一が沈痛な思い「大好きな一服を、気兼ねなく楽しまれてください」 倉本聰さん死去、24年「海の沈黙」など倉本作品多数出演

中井貴一に車椅子を押されて登壇する倉本聰さん=2024年
「海の沈黙」取材会で倉本聰さん(中央)を囲む(左から)中井貴一、小泉今日子、1人おいて、本木雅弘、菅野恵、若松節朗監督=23年
北海道小樽市内で「海の沈黙」の撮影風景を見守る=23年
3枚

 数多くの名作を手がけてきた倉本聰さんの訃報に、芸能界は深い悲しみに包まれた。「北の国から」シリーズに出演した俳優の吉岡秀隆(56)は所属事務所の公式サイト上で追悼の21文字のコメントを発表。一方、24年公開の「海の沈黙」など、倉本作品に多く出演した中井貴一(65)も事務所の公式サイト上でコメントを発表。長文で倉本さんへの思いをつづった。

  ◇  ◇

【中井貴一のコメント】

 向田邦子さん、山田太一さん、そして倉本聰さん。

 テレビのチャンネル権がまだ大人にあり、子供にとってテレビが宝箱だった時代。あまり、意味は分からずとも、宝箱に齧り付いて観たドラマ。

 企業のCMを流すために作られたテレビという箱を、一週が待ちきれないほど質の高い、物語を見せる箱に変えていった巨星達。

 倉本聰さんと初めてお仕事をさせて頂いたのは、1983年放送の「波の盆」であった。

 撮影前に行われる本読み。

 会議室に集まり、笠智衆さん、加藤治子さんをはじめとする錚々たる先輩達がテーブルを囲む。当時、21歳であった私は、当然末席に。

 そこに、プロデューサーを先頭に、監督、倉本さんらが入室。ゆっくり席につく。

 静けさというものは、人が居らず、自然の中に身を置いた時に感じるものであり、都会デトックス、癒しだと思っていた私であったが、60人ほどの大人が片寄合う様に集った大都会の会議室で感じた静けさ。台本の上を滑り落ちた鉛筆が、机に転がる。その音が、ペットボトルを壁に投げつけたかの様な爆音に聞こえる程。緊張と恐怖を覚え、静けさの概念が変わった瞬間でもあった。

 本読み終了後、先輩方に容赦ない、倉本さんのダメ出し。末席に控える私は、血祭りを覚悟した。

 だが、デビューして2、3年ほどの私には、ほぼ言葉はなく、終了。

 その時強く感じた。お前さんはまだダメ出しをする程の俳優にもなっていない…先輩のダメ出しを通して、私に伝えたメッセージを。

 その後、数々のドラマにお声がけを頂き、度毎に、色々な事を厳しくも、愛情を持って教えて頂きました。

 「おもちゃの神様」というドラマのオファーを、ご本人から直接頂いた時の事。「今度、俺の成りすましをした人間の話をドラマにするんだけど、その成りすましをした男をやってほしい。その役…どう考えても、貴一なんだよ。成りすましやらせるんだったら、貴一しかいないんだよ。他に思い浮かばないんだ。」と。

 どういう事?どういう意味?

 直接、オファー頂いたのは嬉しかったのですが、一癖も二癖もあるオファー、こんなオファー…って…(笑)と複雑な気持ちでお受けした事が、昨日のことの様。

 最後にご一緒出来たのは、映画「海の沈黙」。

 ここから…もっともっと面白いドラマを書いて頂きたかった。面白いテレビドラマを。

 残念です。

 晩年は、大好きなタバコも止められ、療養をなさっていらしたとか。天の上が、全面禁煙かどうかはわかりかねますが、喫煙所を見つけて、大好きな一服を、気兼ねなく楽しまれてください。

 心よりご冥福をお祈りいたします。

◆本木雅弘「映画『海の沈黙』でお世話になりました。自然界、そして人間の営みに深い考察と愛情を持ち、先生ご自身が樹木のように落ち着いた呼吸をされている印象でした。今年の2月に富良野に行く機会があり、先生とお食事をしました。時々イタズラなことを仰りながら、和やかな笑みを浮かべていたお姿が心に残っています。どうぞ 安らかに眠られますようお祈り申し上げます」

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス