緒形敦「豊臣兄弟!」で織田信澄役好演 野望は大きく親子3世代で大河主演

 12日のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜、後8・00)では、本能寺の変が描かれ、神回と話題だ。黒幕となったのが、信長の甥(おい)・織田信澄(のぶずみ)。史料のほとんどないミステリアスな存在を俳優の緒形敦(30)が好演している。祖父の緒形拳さんは秀吉(65年の「太閤記」)、父の緒形直人は信長役(92年の「信長 KING OF ZIPANGU」)で大河に主演しており、縁ある配役となった。俳優一家の3代目は、一体どのような人物なのか。素顔に迫る。

 「本能寺の変」編に突入してから、当初は信長の度量を示す存在としてクローズアップされていた信澄だが、まさかの黒幕だった。謀反を企てたことで殺された信長の弟・信勝の長男。オーディションを経て起用された敦は「自分の祖父と父親が大河で主演をしていて、それが豊臣秀吉と織田信長役。戦国の時代に自分が携われることに不思議な縁を感じました。身が引き締まる現場で『ここで父も祖父も撮影していたのか』と感慨深かったです」とかみしめた。

 史実では、信澄は光秀の娘婿だったことから「本能寺の変」への関与を疑われて自害する。それ以前の史料はほとんどなく、2月に信澄の居城跡を訪れるなどして役作りした。「感情が読めないように演じてほしい」と演出を受け、「どこかミステリアスで俯瞰(ふかん)している。心の内を明かさない人物像なのかなと意識しました」と振り返る。

 母親も演技派の仙道敦子で俳優一家の長男。「勉強しろと言われたこともないですし、自由に育ててもらったなと思います」。拳さんの家は近くにあり、「ゲーセンに連れていってもらったり。(祖父も)UFOキャッチャーとかやってましたよ」と笑う。

 アメリカ・メーン州の全寮制高校に進学。「英語をしゃべれたんですか?」と聞くと、「そのときはまったく。英検4級レベルでした」と苦笑した。「最初のテストは全教科0点でした。普段の英語がわからないのに物理の問題がわかるわけないんですよ。当初、どうやって生き延びたのか、本当に覚えてないです」。得意のサッカーで一目置かれ、友達ができたことで窮地を脱出。今では英語を自在に操る。

 ファッションデザイナーを目指し、NYのデザイン系大学の内定をもらっていたが、俳優になりたいと方向転換。両親にテレビ電話で伝えると「さすがにびっくりはしてました。3秒くらい止まってました。電波が悪かったのかもしれないですけど、動いてなかったです」と、いたずらっぽく笑った。「自由」が緒形家の方針で、反対はされなかったという。

 山田孝之に憧れて、同じ事務所のオーディションを受けて所属。2017年にいきなりTBSの看板枠・日曜劇場「陸王」で俳優デビューした。「カメラの前で芝居することも初めてだったので、気持ちとしては裸で戦争に行ってるような感覚。そこで結果を残す人もいるわけで、自分はできなかった」。苦い船出となったが、舞台を中心に土台作りを続けた。

 野田秀樹氏が修行の場として立ち上げた東京演劇道場に参加。その流れで舞踊家・田中泯の舞台に出演し、師と仰ぐ。

 「人に自分をさらすことの覚悟、面白さを学びました。セリフも一切なくて、ゆっくりとずっと動いている中を1メートルもない距離でお客さんがグーッと見ている。僕が動いているすべてをみんなが見ている。表現をしようとすると、お客さんが飽きちゃうので、常に自意識を忘れて、1時間やるんです。究極だと思いました。芝居も本来はそうなんじゃないかって」

 演じずに演じる-。祖父の作品からも感じた感覚だという。拳さんが漁師役で主演した映画「魚影の群れ」が印象に残っているといい、「見るからに漁師でしかなくて、ドキュメンタリーみたい。泯さんもそうですけど、究極のリアルさがかっこよかった。いい出会いをさせていただき、好きな感覚がつながっている。ぶれずにやれているのかなと思います」とうなずいた。

 祖父と父は史上唯一、親子で大河の主演を務めた。期待のかかる3世代主演について聞かれると、「頑張ります」と表情を引き締めていた。

 ◆緒形敦(おがた・あつし)1996年6月20日生まれ。神奈川県出身。2017年にドラマ「陸王」でデビュー。今年1月期のドラマ「東京P.D. 警視庁広報2係」では父・直人の役の若かりし日を演じ、話題となった。主な出演作は大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」、映画「そこにきみはいて」など。特技はサッカーで、小学校時代に横浜F・マリノスの育成チーム所属。身長174センチ。

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