堀ちえみ「ファンが待っている」長女の言葉に「覚醒しました」 大腿骨頭壊死、リウマチ、舌がん、壮絶闘病乗り越え歌手復帰 2度の離婚、再々婚

家族への思いを語った堀ちえみ(撮影・石井剣太郎)
1986年当時の堀ちえみ
インタビューで涙する堀ちえみ(撮影・石井剣太郎)
3枚

 月イチ連載企画の「今も輝いて アイドル伝説」。今回は堀ちえみ(59)が登場です。「花の82年組」でデビューし、ドラマ「スチュワーデス物語」で大ブレーク。2019年には舌がんを公表しながら、大手術を乗り越え、歌手として復帰しました。苦難を乗り越える堀を支えた原点、家族を語りました。

 「歌が好き」が堀ちえみの原点だ。幼稚園から童謡とピアノを習い、小学校では合唱団で活動した。中学生のとき地元、大阪・堺に新曲キャンペーンで訪れた石野真子を見てアイドルに憧れ、数カ月後に受けた1981年のホリプロスカウトキャラバンで優勝。翌82年にデビューした。

 「同期は一人一人個性がすごくありました。学校帰りの放課後に楽屋に集まって(本番で)歌を歌って…学校の延長という感じ」

 同期は中森明菜、小泉今日子、早見優、松本伊代、シブがき隊ら。「花の82年組」と呼ばれた黄金世代は、ライバルというより友達だった。寮を出て1人暮らしを始めると、自宅に招いて食事を振る舞うこともあった。

 「うちでクリスマスパーティーをやったこともあります。ケンタッキーを買って、レコードかけてプレゼントの交換会したり。遊ぶといってもかわいいものでした」

 デビュー翌年にはドラマ「スチュワーデス物語」に主演し、キャビンアテンダントの訓練生・松本千秋を熱演した。自らを卑下する「ドジでのろまなカメ」というセリフは流行語となった。

 「監督さんが厳しかった。セリフが上手に言えると『あーダメだ。演技がうまくなっちゃった』と怒られる。うますぎるとこなれてきた感じになってしまうと」

 当時のオーバーな演技を自ら「大根でしたね」と苦笑い。実は、器用に演じると千秋の一生懸命さが伝わらないという、大映ドラマ独特の演技理論の実践だった。

 同ドラマ後も「スタア誕生」「花嫁衣装は誰が着る」などに次々主演。アイドル女優として地位を確立したが、20歳だった87年、突然引退を発表する。

 「疲れちゃった。アイドルに限界も見えたし、どうしても年を取ってしまう。歌が好きで入った世界なのに、歌を歌っていけなくなるんじゃないかと。自由もないし、結婚もしてみたいし、経験できることは全部経験しないと、人生もったいないなって」

 ドジでのろま、ではなく思い切りがよいのが堀の素顔。アイドルの舞台を降りて、故郷の大阪に帰った。2年後には、芸能界に戻り、2度の結婚と離婚、5児の出産などを経験。そして2011年、44歳で現在の夫、尼子勝紀氏と運命的に出会い、再々婚する。

 「何回か街で偶然に会って、じゃあご飯でも行きますか、と。そしたらしゃべっても面白い。お互い結婚も失敗して、大変なことを乗り越えて来て、話が合って居心地がよくて」

 ようやく訪れた安定した幸せな生活…のはずだった。が、堀の体を次々と病が襲う。48歳だった2015年、特発性大腿骨頭壊死症で人工関節に。17年にはリウマチを発症。18年には追突事故で頸椎を捻挫した。同じ年の6月、舌にできた口内炎はなかなか治らなかった。

 複数の病院にかかっても「ビタミン不足」や「リウマチの処方薬の影響」と言われるばかりだった。その間も舌の具合は悪化。痛みに耐えられず、自ら検索すると、舌がんの症例と酷似していると気づいた。2019年2月に受けた診察で、舌にできた扁平上皮がんとようやく判明した。

 「希少がんで症例があまりなかった。自分も、口内炎で大きな病院には行けないと思い込んでいた。早く治療していれば、今でもちゃんとしゃべれたのに。ちゃんと歌い続けられたのに…」

 がんはステージ4。リンパ節にも転移していた。舌の6割を切除し、太ももの筋肉を移植する手術は11時間に及んだ。命は助かったが、以前のように発声はできなくなった。

 「ふさぎこんでいました。愛犬に話しかけてもお座りが通じなかったときの、あのショック。『おすわり!』の『す』がうまく言えないから知らん顔されて。落ち込みました」

 ボロボロの精神状態の堀を叱咤したのが長女の彩月さんだった。

 「もちろん私も悲しかったですけど、可哀想って雰囲気がよくないと思って『ファンの人はお母さんに生きてほしいと思ってるよお母さんは一人じゃない。大きな存在なの』と伝えました」(彩月さん)

 愛娘の言葉に「覚醒しました」と振り返る堀。「自分のためというより『ファンが待っている』という言葉でモチベーションが上がりました。家族は分かってるなって」

 支えてくれたのは家族だけではない。アイドル時代の仲間も、堀の復活を祈っていた。

 「手術を受ける前に、伊代ちゃんがまとめて『みんな応援してる』って電話をくれて。手術の最中に、みんなで時間を決めて空に向かって『頑張れ!』って呼びかけてくれたそうです」

 周囲の支えで、現在は大好きな歌手活動を再開。5月27日には新曲「月に祈りを」を配信した。ライブツアー「59だョ!全員WA・ショイ!」を7月に東京、8月に大阪で開催する。

「今のボイストレーナーが『高音にキラキラした成分がある』と教えてくれたんです。舌を使わない新しい発声法を教わって、10代より高音が伸びるようになりました」

 目を輝かせる一方で日本歯科大の客員教授に就任。「自分の後悔を他の人に経験してほしくない」と講演会で舌がん治療の啓発を行う日々だ。来年迎える還暦も、歌手・堀ちえみは歌いながら精力的に駆け抜けていく。

 ◆堀ちえみ 1967年2月15日、大阪府堺市生まれの59歳。1981年のホリプロスカウトキャラバンで優勝。翌82年、「潮風の少女」で歌手デビュー。同年、日本レコード大賞新人賞を受賞。85年「リ・ボ・ン」が大ヒットした。1990年に長男、92年に次男、93年に三男、2000年に四男、02年に長女を出産。7月4日に東京・なかのZEROホール、8月9日に大阪・なんばHatchでライブツアー「59だヨ!全員WA・ショイ!」を開催する。

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス