【弁護士の見解】フジ第三者委の回答は公平性、中立性に疑義「適切とは言いがたい」 元フジ女性アナの発言影響も指摘

 1月に芸能界を引退した元タレント・中居正広氏と、元フジテレビ女性アナウンサーとのトラブルを巡る問題で、フジテレビなどが設置した第三者委員会が22日、中居氏側の代理人弁護士からの反論文書に対して回答した。この回答について、弁護士法人「ユア・エース」の正木絢生代表弁護士がデイリースポーツの取材に応じ、公平性や中立性に疑義を訴えた。

 正木氏は、第三者委員会の回答について「形式的には日弁連の『ガイドライン』に基づき妥当性を主張していますが、実質的な公平性に疑義があります」と指摘。同委員会の調査報告書に、中居氏が約6時間のヒアリングに応じた内容がほぼ反映されていないことを「説明責任やプロセスの透明性の観点から問題」とし、「守秘義務を盾に議論を封じる姿勢は、独立性を損なうものとして社会的な信頼性にも影響しかねません」と分析した。

 同委による「性暴力」の定義がWHOに準拠していることには「グローバルスタンダードとしての採用自体には合理性があります」と一定の理解も。その上で「国内の文脈や社会的イメージに照らさずに使用することは、日本社会における『性暴力』の理解と乖離を生む危険性がある」とも指摘。日本では「性暴力」という語に極めて強い犯罪性のニュアンスが伴うとし、「この違いを十分に説明せず報告書で使用したことは、報告対象者の社会的名誉に対する影響への配慮を欠いたものであり、適切とは言い難い」と訴えた。

 中居氏の証言の記述量について同委が「編集権限」と主張したことには「偏りがあるように見えるならば、報告書全体の信頼性を損なう」「『吟味した』とするだけでは不十分であり、具体的にどう扱われたかを明示すべきだった」と指摘。「『編集権限の濫用』あるいは『調査対象に不利益な編集』の疑いが拭えません」と否定的な見方を示した。

 中居氏側が、守秘義務の全面解除を拒否した理由を「新たな情報の流布の懸念」を抱いたとしていることには、過去に被害者とされる元女性アナウンサーが週刊誌等で発言したことが影響していると推測。「第三者委員会は『女性に対して元々の示談契約における守秘義務を超える新たな守秘義務を課すもので、合理的提案とは思われず』としていますが、そうであれば第三者委員会は、対等な守秘義務条件でのヒアリングを再調整すべきだった」とし、「一方の全面解除のみに依存した形でヒアリングを進めた結果、公平性を欠いた」と批判した。

 そして、第三者委員会の回答を「形式的な反論には応じていますが、本質的な懸念-すなわち中立性・公正性・社会的影響への配慮-に対して十分な誠意ある対応がなされているとは評価しがたいです」と総評。「報告書の根幹に関わる『性暴力』の定義の扱いや、中居氏のヒアリング内容の取り扱いに関して、形式論やガイドラインでの正当化にとどまり、実質的にその懸念に応える説明力を欠いています。この意味で、第三者委員会の回答は『形式的には回答したが、実質的な信頼回復には至らない』と言わざるを得ません」と断じた。

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