【ヤマヒロのぴかッと金曜日】『令和の米騒動』で確信、危ない日本の農業
今年は出だしからギックリ腰と股関節の痛みで、思うように体を動かすことができなかった。ゴルフはともかく、ほったらかしにしていたヤマヒロ農園は3月になると雑草だらけの荒地になっていた。畑は待ってはくれない。それでも何とか、ラジオ番組の仲間の応援を得て、今週、夏野菜の苗を植え付けることができた。例年に比べて随分後れを取ってしまったものだが、個人で楽しむ菜園なのでまだ笑っていられる。
毎年、これを本業とする農家にとっては笑い事では済まされない。私のように自分の体調によるものならまだしも、作りたくても作れず、先祖伝来の田畑が荒廃していくのを指をくわえて見ることしかないというのはさぞかし辛いだろう。
日本の農業は、国の政策に翻弄(ほんろう)されてきた。減反政策によってコメの生産量は抑えられ、所得が減少したうえに、雑草が生い茂ることで土壌が侵食され、水質汚染も問題となった。コメ作りの技術・知識も失われた。2018年の減反政策廃止後も、コメの生産量の増加にはつながらなかった。形だけの廃止だったからだ。その後も生産量の調整をし続けた結果が、昨今の『令和の米騒動』である。
コメが足りてないのはインバウンドで訪日外国人が増加したことが原因だとか、一部業者が隠し持っているなどと意味不明のへ理屈もようやく影を潜めたが、遅きに失した備蓄米放出後も価格は下がらず、スーパーやお米屋さんにコメは届かない。
挙げ句、当事者意識の低い大臣がアホな軽口をたたき、事実上の更迭。石破首相も小泉新農相も待ったなしの対策が求められている。その中の一つがコメの増産である。もう失敗は許されない。
消費者に向き合った政策は表明したが、一方で生産者をどう守るのか。これまでのようなわずかな“補償”ではなく、働きがいのある、作った分はきちんと利益につながるように導けるのか。さらに中山間地の多い日本での農地整備(ほ場)事業はそう簡単には進まない。ドローンや外国製の巨大トラクターを駆使して少人数で済ませられる土地ばかりではない。となると、人手が必要なのだ。
この先何年もしないうちに土を知り尽くした農業従事者は引退していく。農業に魅力を感じる若い世代の力が必要なのだが、どう継承していくか。農政全般、待ったなし。そこに、またまた抵抗勢力が立ちふさがるだろう。利権争いをしているうちに外国資本や輸入米に取って代わられる。ここで間違えば、20~30年後「あの時が悪夢の始まりだった」ということになろう。なので消費者も当てにばかりしていてはダメだ。
3年前、私が畑を始めたのは個人自給率を上げてみようとの思いからだった。自分で食べる分は自分で何とかしたい、いきなりコメは無理なので野菜から始めてみた。そんな私が提案したいのは『日本版ダーチャ』。ダーチャとは、ロシア・旧ソ連圏で一般的な菜園付きセカンドハウスのことだ。経済がドン底だった時も食いつなげたのは自前の野菜があったから、という話を聞いた。いいことはマネすればいい。評論家みたいなことをいう前に、都心に住む人も休日は郊外で汗をかいてみてはどうか。(元関西テレビアナウンサー)
◇山本 浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。
