フジ第三者委は対等な守秘義務条件でのヒアリング再調整すべきだった 公平性や中立性に疑義「適切とは言い難い」【弁護士の見解】
1月に芸能界を引退した元タレント・中居正広氏(52)と、元フジテレビの女性アナウンサーの間のトラブルに関する調査報告書を発表した第三者委員会に対し、中居氏の代理人が証拠の開示などを求めていた件について、第三者委員会が22日、回答を発表。「事実認定は適切だった」とし、中居氏側の反論に対して改めて報告書の公平性と中立性を主張した。また、中居氏側が求めていた証拠の開示については、非開示とした。第三者委員会の回答について、弁護士法人「ユア・エース」の正木絢生代表弁護士がデイリースポーツの取材に応じ、公平性や中立性に疑義を訴えた。
正木氏は、同委員会の調査報告書に、中居氏が約6時間のヒアリングに応じた内容がほぼ反映されていないことを「説明責任やプロセスの透明性の観点から問題」と説明。「守秘義務を盾に議論を封じる姿勢は、独立性を損なうものとして社会的な信頼性にも影響しかねません」とした。
同委による「性暴力」の定義がWHOに準拠していることには「国内の文脈や社会的イメージに照らさずに使用することは、日本社会における『性暴力』の理解と乖離を生む危険性がある」とも指摘。日本では「性暴力」という語に極めて強い犯罪性のニュアンスが伴うとし、「この違いを十分に説明せず報告書で使用したことは、報告対象者の社会的名誉に対する影響への配慮を欠いたものであり、適切とは言い難い」と訴えた。
中居氏の証言の記述量について同委が「編集権限」と主張したことには「偏りがあるように見えるならば、報告書全体の信頼性を損なう」「『吟味した』とするだけでは不十分であり、具体的にどう扱われたかを明示すべきだった」と指摘。「『編集権限の濫用』あるいは『調査対象に不利益な編集』の疑いが拭えません」と説明した。
中居氏側が守秘義務の全面解除を拒否した理由を「新たな情報の流布の懸念」を抱いたとしていることには、過去に被害者とされる元女性アナウンサーが週刊誌等で発言したことが影響していると推測。「第三者委員会は、対等な守秘義務条件でのヒアリングを再調整すべきだった」とし、「一方の全面解除のみに依存した形でヒアリングを進めた結果、公平性を欠いた」と批判。総合的に第三者委員会の回答を「形式的には回答したが、実質的な信頼回復には至らないと言わざるを得ない」と断じた。