将棋好きの元阪神左腕・井川慶氏 「運要素がない将棋界で実力だけで勝負した」 藤井聡太八冠達成のすごみ語った

 将棋好きで知られ、2003年にプロ野球・阪神でMVPなど七冠を達成した井川慶氏(44)=本紙評論家=が、同じ勝負の世界に生きてきた立場から、藤井八冠のすごみについて語った。

  ◇   ◇

 僕は将棋好きの元野球選手であって、お会いしたことのない藤井さんを語るのはおこがましいですが…。まず素晴らしいなと思うのは、あの若さでの発言でしょうか。自分のことを冷静に分析されていますし、語り口も見事ですよね。

 対局の動画もよく拝見します。今は指し手をコンピューターで分析して数値化されるわけですが、普通は見えにくいような、コンピューターだから見つけられるような最善の手を打っていけるところがすごいなと。

 将棋界の方に話を聞くと、意外と指し手は盤面を見ての感覚的なものもあるそうで。先の、そのまた先の手を読み、そこだけにこだわってやっているのかなと思っていましたが、決してそういうわけでもなくて。パッと盤面を見て、こちらの守りが薄いとか、攻めやすそうとかを見ながら打つこともあるとか。

 勝負という観点で言うと、僕がいた野球界は運に左右される部分が多いんです。例えば失投であっても、打ち損じでアウトを取れたり、完璧に捉えられてもたまたま野手の正面に飛んだりとか。ただ、将棋には運要素がない。完全に自分の実力だけで勝負しているので、本当に強くないと勝てないですよね。

 長時間の対局で、体調とかコンディションが影響するところも当然あるのかなとは思います。ただ、そこも自分で管理できる範囲のものであることを考えると、トータルでの勝負で実力を発揮して、勝ち続けるところのすごみでしょうか。

 僕の将棋との関わりで言うと、阪神時代にプロの方を紹介してもらってからより好きになって、ロッカーでよくやっていました。2004年に広島でノーヒットノーランを達成した時には、実は練習後の対局に熱中するあまり、登板前のブルペン投球に遅れたぐらいで(笑)。

 メジャー1年目の渡米前だった07年には、日本将棋連盟から「将棋親善大使」に任命されました。アメリカでも、ルールが英語で書かれているテキストを見ながら教えて、好きになってくれた選手もいました。海外ではチェスもありますが、引き分けもあるチェスと違い、勝敗が決するところも将棋の魅力だなと感じます。

 今は解説者もすごく分かりやすい方が多く、より一般的でオープンな感じもありますね。そこに、実力も伴った藤井さんのようなスターが出てきた。これからもさらに、将棋に注目が集まって、普及していけばと思います。

 ◆井川 慶(いがわ・けい)1979年7月13日生まれ、茨城県出身。現役時代は左投げ左打ちの投手。水戸商から97年度ドラフト2位で阪神入団。06年オフにポスティングシステムで米大リーグ・ヤンキース入団。12年にオリックスでNPB復帰。15年に退団後、17年に独立リーグのBFL兵庫でプレーし同年オフ退団。NPBでは03年にMVP、ベストナイン、沢村賞など七冠。

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