山口県阿武町が誤って振り込んだ給付金４６３０万円の一部を使用したとして、電子計算機使用詐欺容疑で同町の、無職田口翔容疑者（２４）が逮捕された事件が２３日、急展開を迎えた。出金先の一つの決済代行会社から３５００万円余りが町の口座に振り込まれたことが関係者への取材で判明。県警や町が詳しい経緯を調べている。

　容疑者に給付金や弁護士費用など約５１１５万円を求めて山口地裁萩支部に提訴している町は「係争中のため、お答えは控える」とコメントした。

　容疑者の代理人弁護士によると、町は４月８日に新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金１０万円に加え、４６３０万円を容疑者の口座に振り込んだ。容疑者は１９日までに３４回にわたり計約４６３３万円を出金。主な出金先は国内の決済代行会社３社で、うち２７回の計約３５９２万円が１社に集中していた。

　関係者によると、この会社から町の口座に３５００万円余りが振り込まれていた。

　容疑者は４月１２日、町から誤って自身の口座に振り込まれたと知りながら、オンライン決済サービスで決済代行業者の口座に４００万円を振り替え、不法に利益を得たとして５月１８日に逮捕された。県警によると「オンラインカジノに使った」と供述している。

　逮捕前に容疑者は「金は海外のインターネットカジノ数社で全部使った」と全額つぎ込んだと話していたというが…。ナゾに包まれた３５００万円の振り込み。「どこかに何らかの形では残っていると信じている」と語っていた花田町長は、きょう２４日に給付金の回収状況について記者会見を開く。