ニッポン放送五輪実況・洗川雄司アナ 人間の声で伝えることってエモーショナル

 新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの会場が無観客となる異例の東京五輪。放送局や放送人の取り組みや思いを紹介する連載「東京五輪 放送の現場から」の第2回は、ラジオ実況にスポットを当てる。今大会で卓球、バドミントンなどの実況を担当するニッポン放送・洗川(あらいかわ)雄司アナウンサー(44)が登場。「人間の声で伝えることってエモーショナル」と力説する、熱狂を声と音のみで伝えるラジオの意義やこだわりを語ってもらった。

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 五輪実況を担当するのは、2012年のロンドン五輪大会以来2大会目。自国開催での大役に心地良い緊張感を抱きつつ、ほぼすべての競技が無観客開催という前例のない大会に「伝えることの重要性がいつも以上に問われるオリンピックになると思います」と使命感を口にする。

 ラジオの五輪中継は、NHKと民放各社が枠組みを超え放送機構・ジャパンコンソーシアムで共同制作。通常はプロ野球や競馬などを主戦場とする洗川アナが担当するのは、多数のメダル獲得が期待される卓球とバドミントンだ。「われわれの声だけでなく歓声や観客のノイズだったりが中継を形作るので、歓声がないというのが苦労するだろうなとも思っていて思案中です。声の調子や高さ低さで伝えるのか、声量だけでなくスピード、テンポで伝えるのか」とプランを描く。

 テレビとは異なり、声と音のみで情報と臨場感を伝えなくてはならない。「五輪はとにかく主語が日本選手。フォアで打ってるのか、バックハンドで打ってるのか。決まればスマッシュなのか相手のミスなのか。コートの立ち位置は手前が日本なのか」。何よりも「勝とうが負けようが、選手の皆さんの頑張った表情をしっかり見たい。それを伝えるのが仕事」と話す。

 ラジオ五輪中継といえば、ベルリン五輪(1936年)でのNHK・河西三省アナウンサーの「前畑ガンバレ」が有名。伝え手としての真髄を秘めるラジオに、洗川アナは「人間の声で伝えることってエモーショナル。記録とか数字とかロジックだとかそういうことではない、人間の感情やエモーショナルな部分が伝わりやすいメディアなのかなと思います」とプライドをにじませる。

 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(27)のメジャー初打席とメジャー初勝利の実況を現地で担当した洗川アナ。歴史的な場面に立ち会う運も持っている。「耳を傾けている皆さんに、2021年の記憶を刻むお手伝いができれば」と力を込めた。

 ◆洗川雄司(あらいかわ・ゆうじ)1977年6月16日生まれ。長崎県出身。幼い頃からラジオのプロ野球中継に夢中になり、早大時代は多数のアナウンサーを輩出した「アナウンス研究会」に所属。01年にニッポン放送に入社し、同局「ショウアップナイター」やメジャーリーグ、サッカー、競馬などの実況を担当。現在コンテンツプランニング局報道スポーツコンテンツセンター担当副部長。

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