林原めぐみ「歌う声優」先駆者がアーティスト30周年 「エヴァ」綾波&「コナン」灰原役

 大ヒットアニメ「エヴァンゲリオン」シリーズの綾波レイ役や「名探偵コナン」の灰原哀役で知られる声優の林原めぐみが今春、アーティストデビュー30周年を記念して、3枚組ベストアルバム「VINTAGE DENIM」をリリースした。歌う声優の先駆けでもあり、今や作詞作曲まで手がけている林原が、長きにわたる音楽活動への思いをデイリースポーツに語った。

 アルバムタイトルの「VINTAGE DENIM」には、さまざまな役柄を演じる声優の仕事を、さまざまな楽しみ方ができるデニムに重ねると共に、デニム好きの林原の「一つのものをくたくたになるまで、なじむまで愛するという大切さ、楽しみも添えられれば」という思いが込められている。

 1枚目は出演したアニメの主題歌などの代名詞的な楽曲、2枚目は「生活そのものに寄り添えるような、日常を歌った」楽曲、3枚目は眠りに誘うような心地良い楽曲で構成。正統派のアニソンからジャズ、ラップまで、シンガー・林原めぐみの力量を存分に知らしめる幅広さだ。

 今でこそ声優アーティスト全盛だが、林原が歌い始めた頃は、歌い手と声優は別ものとされていた。

 林原は当時の空気を「しょせん声優の歌でしょ?声が良いから歌わせているだけでしょ?みたいな、マイナスなイメージがまとわりつくようにあった」と振り返る。だからこそ、ディレクターと共に「誰が聴いても恥ずかしくないものにはしたい。しょせんを払しょくしたい。知らない人が聴いたとしても何か響くようなものにはしたい」という気持ちで、歌に向かい合った。

 30年を経て、歌は「今でも難しい。今でも困難」と打ち明ける。

 「メロディーと歌詞のどっちを大事にしていいかがいまだに分からなくなっちゃうんですよね。脳の中で(メロディーと歌詞は)2つじゃないんだ、1つなんだって自分に教えるまでにすごく時間がかかります」

 その困難な作業を30年続けてこられた理由には「応援してくれる人が、聴きたいという人がいたからと、作品に恵まれたということ」を挙げる。

 「歌う前はいつも嫌なんですけど、歌った後は心からやって良かったと思うことの繰り返しですね。たくさんのプロの人の頑張りが集結してるカラオケを聴くと、いつも私の声はいらないんじゃないかなって気が引けちゃうんですけど、歌いきった時に、どこに感謝していいのか分からないぐらい気持ちがいっぱいになります。だから、好き?って言われると難しい。嫌いじゃないし、そういう言葉じゃない感じ」

 また、聴き手の反応を知ることで「歌によって誰かの人生の何かになったんだなっていうことを感じる瞬間が一番うれしいし、それは数字でははかれないものだなって思います」と、送り手としての喜びも明かした。

 今年は1月にTBSラジオ/ラジオ関西「林原めぐみ Tokyo Boogie Night」の1500回突破を記念して公開録音を生配信。2月に著書「林原めぐみのぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力」を出版。3月は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開され、本作をリリース。4月にシングル「Soul salvation」をリリースとイベントラッシュだった。今は「放出するという意味では気持ちいいぐらい空っぽ」だという。

 「お鍋の内側がすごくピカピカしていて、カスが一つもなくて良い感じです。新しいものが入ってくるもよし、何が入ってきても煮られそうだし焼けそうだし、グツグツできそう」と自己分析。「コナン」など継続している仕事を大切に頑張りつつ、新たな冒険の受け入れ準備も、既にできているようだ。

 ◆林原めぐみ(はやしばら・めぐみ)3月30日生まれ、東京都出身。1986年、看護学校および声優養成所在籍中に「めぞん一刻」でアニメデビュー。代表的なキャラクターは「スレイヤーズ」のリナ=インバース、「エヴァンゲリオン」シリーズの綾波レイ、「ポケットモンスター」のムサシ、「名探偵コナン」の灰原哀など。歌手としては91年に1stシングル「虹色のSneaker」をリリース。ラジオDJ、エッセイストとしても活躍。血液型O。私生活では1児の母。

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