オルケスタ・デ・ラ・ルス(前)10年ぶりオリジナルアルバムは最高にして最大の表現

 1990年前後に一大サルサブームを巻き起こした、日本が生んだ世界的サルサバンド「オルケスタ・デ・ラ・ルス」が結成35周年の今年、10年ぶりのオリジナルアルバム「Gracias Salseros(グラシアス・サルセーロス)」を7月24日にリリースした。唯一のオリジナルメンバーであるNORA(ボーカル)と、2002年の活動再開から加わったJIN(ボーカル、コーラス)が、アルバム全曲とバンドの現在地をしゃべり倒すインタビュー、その前編。

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 新作のタイトルは、サルサ好きな人々(サルセーロス)への感謝(グラシアス=ありがとう)を意味している。NORAは「10年ぶりのオリジナルアルバムなので、35周年の記念でもありますし、今までの感謝を込めたアルバムを作りたいなと思った」という。

 アルバムは華やかで楽しく、踊れる作品に仕上がっており、NORAは「予算も時間もない中で、最高にして最大の表現ができたのではないかと。今またバンドの雰囲気がすごくいいので、そういう楽しさが出てる、詰まってるんじゃないかな。聴け!みたいな変に肩肘張った感じがなくて、ホントにグラシアスっていう全体になったのではないかな」と自信をにじませる。

 JINも「今のメンバーだからこそのアルバムという気がします。アレンジする人も演奏してる各個人も、今のメンバーだからこの音になったんだなっていう」と、今のデ・ラ・ルスの魅力がよく出た作品だと強調した。

 オリジナルアルバムは10年ぶりだが、NORAは「3年くらいの感じなんですよ、感覚は。10年も空いたなんて、えっ?っていう感じですね」と笑う。コンスタントに活動していたが、「CDが売れない時代になりましたので、待ってても声はかからず」と、CD不況の波をかぶった面もあるという。

 35周年を迎えるにあたってミーティングを開き、「起爆剤みたいな感じで、海外でも解散したと思ってる人が多いので、新曲を作って、私たちは生き返ったぞみたいな歌詞にして、去年配信しました」と、アルバムでは5曲目の「La Cosa Buena」を先行して送り出した。

 この楽曲の制作で「日にちとか手間とか予算とか大体分かったので、アルバム作るとしたらこういう感じかなっていうのが計算できて」、アルバム制作に取りかかれた。

 オリジナルの新曲は「Gracias Salseros」、「Soy Sopera」、「Azucar Mambo」、「La Cosa Buena」(スペイン語版と日本語版)。これにテレサ・テンのカバー「つぐない」、日本の歌曲「さくらさくら」、サルサの女王セリア・クルーズのメドレー、スタンダードの「La Mentira」を加えた。NORAは「サルサって特に日本じゃなじみがないじゃないですか。だからカバーもやって」と、選曲の意図を説明する。

 かつてデ・ラ・ルスが日本で知られるきっかけになったのが、高田みづえの「私はピアノ」のカバーだった。今回、同曲の役割を果たす新たなナンバーとしてJINが「つぐない」を提案した。NORAによれば、テレサは「中南米でもすごく有名」だという。

 「日系の人がたくさん住んでいるペルーとかブラジルとか、カラオケで彼女の日本語の歌をけっこう歌うっていうのをペルーに行って知って、だったらこの歌、聴いたことあるっていうラテンの人もいるんだろうなって思ったので」

 もう一つの日本語の楽曲は「さくらさくら」。海外でもよく知られた楽曲で「ティト・プエンテってティンバレスの神様がカバーしてる影響で、向こうのラテンのミュージシャンはけっこう知ってます」という。昨年、東京JAZZに出演した際、キューバの大ベテラン歌手オマーラ・ポルトゥオンドの演奏も担当したが、ポルトゥオンドもこの曲を歌っていた。「だったら私たちがアレンジして歌ってもらう」と編んだ、ポルトゥオンド用のアレンジを使っている。(後編に続く)

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