福岡が日本第5の都市に 神戸も抜いた

 福岡市は2015年の国勢調査(10月1日現在)の結果、同市の人口が153万8510人となり、日本第5の都市になったことを先月、発表した。11年6月に京都市を、今回は神戸市(153万7860人)を抜いた。人口は5年前の前回調査より7万4767人増え、人口増加数、増加率ともに政令指定都市で1位となった。人口減社会に突入したのになぜ福岡は増えるのか。秘密を探った。

 1位横浜市、2位大阪市、3位名古屋市、4位札幌市に続く5大都市の仲間入り。5位が確定した先月18日夕方、福岡市役所では、総務企画局からのお知らせとしてこんな趣旨の庁内放送が流れた。

 「(政令市で5番目となったのは)これまで市民の皆さまや、まちづくりに携わる多くの方々が、この住みやすく、魅力あるまちを、一時もとどまることなく築き続けてきた、その賜物です。これからも九州、そして地方創生のトップランナーとして、この福岡をもっと素晴らしいまちにしてまいりましょう」。

 同夜には、市役所本庁舎の窓あかりやブラインドを調整して数字の「5」を壁面に浮かび上がらせる演出も。道ゆく市民からは歓声がもれた。

 人口増の主な要因は何か。人口増加には、自然増(出生数と死亡数のプラスの差)、と社会増(転入数と転出数のプラスの差)とがあるが、市総務企画局企画調整部によると、福岡市の場合、「社会増が約8割を占めているのが特色」という。

 同部によると、2010年の前回調査と比べ、人口増の大きな要素の一つとして、特に九州他県や福岡県(都市圏除く)からの、20~24歳、15~19歳の若者層の転入数が顕著に伸びていることが挙げられるという。「市内には大学や専門学校が多く、最近では福岡都市圏の有効求人倍率も全国的にみて改善しており、経済情勢も好調なことから、そうした若者世代が進学や就職のために本市へと移ってきていると考えられます」と同部の担当者は話した。

 高島宗一郎市長は就任以来、2011年度からの3年間で128社を企業誘致し、1万人以上の雇用を生み出してきた。福岡の子どもたちが福岡で働ける環境をつくろうと「スタートアップ都市」を宣言。国の「国家戦略特区(グローバル創業、雇用創業特区)」を活用した起業支援、雇用創出にも積極的に取り組んでいる。

 こうした施策が功を奏し、企業の経済活動が活発になればなるほど、九州他県をはじめとする若者らをますます惹きつけることになるだろう。福岡市民にまちの魅力を尋ねると、「住宅とビジネス街や繁華街がほど近く、まちのサイズがコンパクト」「空港が近くて便利」「物価が安く、食べ物が美味しい」「海や山があり、自然豊か」「転勤で来たら帰りたくない」などの答えが返ってくる。

 実際、市が昨年実施した「市政に関する意識調査」(2015年度、市長室広聴課)によれば、「福岡市民100人のうち、96人が『福岡市のことが好き』で、95人が『住みやすい』と感じ、92人が『市に住み続けたい』と願い、81人が『市のために何か役に立ちたい』と思っている」との結果が出ており、市民の「地元愛」は熱烈だ。「外から新しくやってきた人たちも分け隔てなく受け入れてくれる」との声もよく聞かれる。フレンドリーで情に厚い市民性は初めて福岡にやってくる人にとっては心強い。

 5位確定を受け、高島市長は先月18日、自身のフェイスブックに、「これから九州、そして日本に対して福岡市が果たしていく責任を思うと身が引き締まります」とつづった。続けて「これから大切にしていきたいコンセプトは『WITH THE KYUSHU』。福岡市のこれまでの発展は九州と共にと言っても過言ではありません。九州にはそれぞれの地域にキラリと光る魅力が沢山ありますが、これから福岡市は更にその拠点性と集積のメリットを活かして、九州が誇る産品、商品そしてサービスのハブ機能を果たしていきたい」と記した。

 市総務企画局企画調整部では、「GO! FUKUOKA」と銘打ち、「多くの方から評価されている福岡の住みやすさや活力を国内外にPRしたり、市民の皆さんに再認識していただけるような事業を今後実施していきたい」と意気込んでいる。

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