中村勘三郎さん密葬…天使の紙吹雪舞う

 今月5日に急性呼吸窮迫症候群のため57歳で亡くなった歌舞伎俳優・中村勘三郎さんの密葬が11日、都内の自宅で営まれた。喪主の長男・中村勘九郎(31)、次男・中村七之助(29)は京都での舞台出演のため列席できなかった。代読された喪主あいさつでは、勘三郎さんが病床で家族に「ありがとう」とお礼を言ったことが明かされ、参列者の涙を誘った。出棺時には紙吹雪が舞い「中村屋!」のかけ声。誰よりも歌舞伎を愛し、ファンに愛された勘三郎さんらしい旅立ちだった。本葬は27日に東京・築地本願寺で行われる。

 「中村屋!十八代目!」。かけ声に合わせて、天使の形の紙吹雪が舞い散った。華のある役者だった勘三郎さんにふさわしい、粋な旅立ちだった。

 ひつぎには、勘三郎さんが立つことを切望していた2013年4月オープン予定の新しい歌舞伎座の完成予想図と、以前の歌舞伎座の所作台(舞踊を行うステージ)の板が納められた。板は、表に勘三郎さん、裏に歌舞伎座スタッフの名前が書き込まれたもので、慣れ親しんだスタッフの名前を見ながら天国でも舞台に立てるようにという思いが込められた。

 葬儀には約500人が参列したが、喪主の勘九郎、七之助は京都での舞台に出演したために出られなかった。2人は10日京都での公演を終え深夜に帰京。父に最後の別れを告げ、11日未明に舞台のために京都にとんぼ返りした。それが舞台を誰よりも愛した父への孝行だった。

 喪主あいさつは波野雅行(勘九郎)、隆行(七之助)、好江夫人の連名で、勘三郎さんと親しかった野間脩平アナウンサー(69)が代読。「11月の初旬に3カ月ぶりに声を出すことができた時の言葉が『好江、雅行、隆行、愛(勘九郎の妻)、七緒八(なおや=勘九郎の長男)』。そして『ありがとう』でございました」と勘三郎さんの病室での様子が明かされると、参列者からはすすり泣きが漏れた。

 戒名は演劇全般に通じ、人の心を映し出したという意味の「演暢院釋明鏡大居士(えんちょういんしゃくみょうきょうだいこじ)」。本葬は27日正午から、東京都中央区築地3の15の1、築地本願寺で行われ、葬儀委員長は大谷信義松竹会長が務める。

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