２６日に心不全で亡くなったミュージシャン・桑名正博さん（享年５９）の長男でミュージシャンの美勇士（３１）が２７日、大阪市内で「天国のオヤジに届け」と“追悼ライブ”を行った。アンコールで桑名さんの名曲「セクシャルバイオレットNo.１」や、母で歌手のアン・ルイス（５６）のヒット曲「あゝ無情」を披露し、「これからも頑張っていきます」と決意を語った。

　桑名さんが亡くなってから一夜明け、美勇士は「自分のライブの前日に亡くなるっていうのは、オヤジにもらった機会で意味あるものと思う」と表情を引き締めた。

　７月１５日に倒れてから亡くなるまでの１０４日間、看病と「いつ亡くなるか」という不安と医療費の工面など、家族の心労はピークだった。「亡くなる覚悟はしていたので、気持ち的には大丈夫です」と、家族を支える気丈な長男らしい姿を見せた。

　両親の後を追い、ミュージシャンという道を歩んだが、時には親子として殴り合いのけんかもしたという。しかし、翌日には同じステージで「音楽で仲直りしていた」と振り返った。

　「オヤジは、人間として大きな人。桑名魂を息子として受け継いで代弁していきたい」という思いを胸にステージに立ち、桑名さんが倒れる直前まで一緒に演奏活動を行っていたバンドとともに登場。桑名さんの名曲「セクシャルバイオレットNo.１」を観客とともに熱唱し、「オヤジも天国で聴いてると思います」と精いっぱいの歌声で父への気持ちを伝えた。

　父に着せたデニムと白いシャツ、そして黒いベストのステージ衣装。根っからのミュージシャンだった桑名さんに、「天国ですぐライブができるように」と美勇士が考えた最後の“親孝行”。天国できっと、すてきな歌を演奏しているに違いない。