小西たかのり 土壇場逆転でツアー初V 松山、遼と同学年の苦労人プロ14年目 家庭の事情で一時競技離れた過去も「報われた」
「男子ゴルフ・前澤杯 MAEZAWA CUP・最終日」(27日、MZ GOLF CLUB=パー70)
首位に並んで出た小西たかのり(33)=フリー=が4バーディー、1ボギーの67で回り、通算17アンダーでツアー初優勝を果たした。1差で追う17番に15メートル超のバーディーパットをねじ込んで今平周吾に追いつき、18番をボギーとした相手を逆転。松山英樹、石川遼と同学年で、実業家の前澤友作氏が企画した型破りな大会の初代王者に就いた。今平が1打差の2位、石川は通算7アンダーで27位。女子の菅沼菜々は7オーバーの89位、寺西飛香留は8オーバーの91位だった。
表情は変わらなかった。涙もなかった。小西は「あ、勝った、という感じでした」と振り返った。18番、プレーオフを覚悟する中、今平が短いパーパットを外し決着。「勝ち方として、ちょっと棚ぼた的だったので。でも勝てたのはうれしいです」。プロ14年目、ツアー95試合目の栄光だ。
1差で追う17番、自ら流れを引き寄せた。ティーショットが乱れ、左ラフからのセカンドでつけたピン奥15メートル。大きくスライスしたバーディーを「寄せようと思ったら、入っちゃった」と沈めてみせた。
苦労を重ねた。9歳でゴルフを始め、独学で腕を磨いた。小学生時にジュニアの試合で石川遼と優勝を争ったが、中学のときに家庭の事情で競技を離れた。高校に進学せず、引っ越しなどのアルバイトをした。
2007年の「マンシングウェアオープンKSBカップ」、石川が15歳8カ月で史上最年少優勝したことに触発され、ゴルフ熱が再燃。18歳で千葉県成田市のゴルフ場研修生となり、働きながら腕を磨いた。12年に20歳でプロテスト合格。22年にようやくシード権を獲得した。「ネットでのスコアボードで名前を見つけやすいように」という理由で、今季から登録名を『貴紀』から『たかのり』に変更した。
最終日1位から最終組のスタートは自身初。生涯獲得賞金額は約5350万円だったが、一気に優勝賞金4000万円を上乗せし、今季の賞金ランキングトップに立った。「長かったな。でも報われた」と感慨に浸った。
会場にスーパーカーが並び、32人のラウンドガールを背にした表彰式では、カンペをかみまくる初々しさを見せた。憧れた石川、同学年の松山の名を挙げられると「うらやましいと思う半面、ああなりたいなと思っていた。やっと勝てました」としみじみ。「このままの感じで2勝目、3勝目をつかめたら」と先を見据えた。




