岩井千怜が大会連覇 バックナインで逆転し世界へ弾み 英語で対話し“米国仕様”を意識 米ツアー初Vへさらなる進化だ
「女子ゴルフ・ダイキン・オーキッド・レディース・最終日」(9日、琉球GC=パー72)
1打差の2位からスタートした岩井千怜(22)=Honda=が7バーディー、1ボギーの66で回り、通算10アンダーで2位に4打差をつけ、ツアー通算8勝目を手にした。また前年度からの大会連覇となり、こちらは自身2度目。今季から本格参戦している米ツアーでの初優勝に向けて弾みをつけた。初日から首位の菅楓華(19)=ニトリ=は71と伸ばし切れず、通算6アンダーの2位に終わった。
まさに異次元とも思える強さで岩井千が大会連覇を成し遂げた。変わることのない「一打一打、集中」の姿勢と、今季からの米ツアーに向けたアップデート。双方がかみ合っての独壇場だった。
前半を折り返した時点では通算5アンダーで菅を1打差で追う展開。過去7度の優勝のうち6度は首位からのスタート。「バックナインまで競っていたので『新しい経験をしているな』と。その面で勉強になりました」と、新鮮な感覚の中、勝負どころへ突っ込んでいった。
12番で2・5メートルのチャンスを決めて追いつき、13番をボギーとした菅の後退で単独トップへ。そして14番の2打目を3メートルにつけて、今週貢献度が高かったというパットの冴えで、この日5つ目のバーディー。「あれが本当に大きかった。2打差となれば、楽な攻め方をしても(優勝の)チャンスはある」と、精神的優位に立てた。
圧巻は16番210ヤードのパー3だ。5番アイアンで放ったショットは自身も「パーフェクト」と振り返る軌道を描き、ピン左わずか30センチにピタリ。ここで完全に勝負を決めた。
今季から米ツアーに挑戦しているが、マネジメント事務所のエントリーミスにより、今週、中国・海南島で行われたブルーベイLPGAの出場がかなわなかった。
大会前は「本当に悔しくて、この大会、どういうマインドでいこうかと悩んでいた」というが、切り替えるしかないと腹を据えた。キャディーにマーク・ウォリントン氏を起用。英語でコミュニケーションを取りながら「一緒に戦ってくれた」という。最終日に同組となった申ジエも「英語で接してくれて、(米挑戦を)応援してくれていると感じました」と、“米国仕様”も織り交ぜての優勝となった。
「弾みのつく優勝」と岩井千。次戦は2週後の国内ツアー、Vポイント×SMBCレディース。その後は米ツアー初優勝を見据え、米本土での戦いに挑む。強さの根源は飽くなき向上心。世界最高峰の舞台に「まだ上を目指していきたい」と力を込めた。