「フィギュアスケート・全日本選手権」（１９日、国立代々木競技場）

　女子ＳＰは５連覇を目指す坂本花織（２５）＝シスメックス＝が７９・４３点で首位に立った。ジュニアで代表資格がない１７歳の島田麻央（木下グループ）が０・１０点差の２位。ＧＰファイナルで２位に入った中井亜美（ＴＯＫＩＯインカラミ）は７７・５０点の３位で、千葉百音（木下グループ）が４位。男子ＳＰは２連覇を狙う鍵山優真（２２）＝オリエンタルバイオ・中京大＝が１０４・２７点でトップ。三浦佳生（２０）＝オリエンタルバイオ・明大＝が９５・６５点で２位につけた。各３枠の男女代表は最終日の２１日に発表される。

　年齢制限で夢舞台に出られない“超”逸材が、五輪候補選手らをねじ伏せた。島田が国際スケート連盟（ＩＳＵ）非公認ながら、中井亜美が記録した今季世界最高得点を１・３３点上回る７９・３３をマーク。その後、坂本に上回られたが、堂々の２位発進を決め「緊張していたけど、（陸上で行う）回転練習で手を上げたら、天井に手をぶつけてしまって緊張がすこしだけ和らぎました」とあどけない笑みを浮かべた。

　圧巻の演技だった。冒頭のトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）を降りると、続く３回転フリップ、３回転ルッツ－３回転トーループの連続ジャンプも着氷。スピンやステップは全て最高評価のレベル４を獲得し、ジャズメドレーのリズムに乗って滑り切った。

　トリプルアクセルに４回転トーループを成功させる並み外れたジャンプ技術で、今季のジュニアＧＰファイナルで史上初の４連覇を達成。ミラノ・コルティナ五輪は約４カ月年齢が足りず出場できないが、フランス・アルプス地方で行われる２０３０年冬季五輪を見据え、今回の全日本選手権で初優勝を狙っている。

　フリーはＸ　ＪＡＰＡＮのＹＯＳＨＩＫＩが作詞作曲を手がけた「ミラクル」で挑む。「（ＳＰで）１つミラクル達成かなと思うけど、フリーが本番のミラクル。ミラクルを起こせるように」。期待を背負う１７歳が、４年前倒しの五輪選考大会を勝ち切る。

　◇島田麻央（しまだ・まお）２００８年１０月３０日、東京都小金井市出身。母が元世界女王の浅田真央さんのファンだったことから「麻央」と名付けられ、５歳でフィギュアスケートを始めた。小学６年だった２１年３月、京都府選手権で国際スケート連盟（ＩＳＵ）非公認ながら日本女子初の４回転トーループに成功。２３～２５年、世界ジュニア選手権で男女通じ史上初の３連覇。愛知・中京大中京高の通信制に在学。