阿部一二三が6度目V「まだ自分の場所は渡さない」2119日ぶり黒星から再起 残り2秒逆転→12分超死闘→決勝も延長 激闘の連続乗り越え五輪王者貫禄「これだけきつい試合は初めて」
「柔道・グランドスラム東京大会」(7日、東京体育館)
男子66キロ級決勝が行われ、五輪2連覇王者の阿部一二三(パーク24)が、決勝で顕徳海利(天理大)に勝利し、6年ぶりの黒星を喫した6月の世界選手権からの再起Vを果たした。グランドスラム東京では、23年大会以来6度目の優勝。6日には妹・詩も52キロ級を制しており、今大会でのきょうだいアベックVは3度目となった。
初戦は不戦勝で、2回戦は開始1分54秒の体落としで一本勝ちした。韓国選手との準々決勝では、大内刈りを返される形の浮き落としで技ありを奪われ、大ピンチ。ただ五輪王者の意地を見せ、残り2秒で逆転した。
世界王者・武岡毅(パーク24)との準決勝は、12分を超える大熱戦。先に指導2つを受けて堪えしのぐ展開が続いが、最後は延長8分37秒に小外掛けで技ありを奪い、決着をつけた。迎えた決勝も日本人対決。両者ポイントがないまま延長戦に入り、3分11秒に体落としで一本を奪い、勝ちきった。
激闘の連続を乗り越えての優勝に、インタビューでは「1日通してこれだけきつい試合は初めて。また成長できた。まだまだ若手には自分の場所は渡さないぞ、という気持ちで戦った。ホッとしている」と安どの表情。特に世界王者の武岡との戦いを「結構きつかった。丸山選手と違って相四つなので。我慢する場所は我慢して、行くときは一気に。このタイミングだなというのが、2、3手前につかめた」と振り返った。
2連覇を達成したパリ五輪後。長期休養の選択肢もあったが、最大の目標でもある28年ロサンゼルス五輪での3連覇を見据え、すぐに再始動。今季は体重無差別で争う全日本選手権に出場するなど新たな挑戦もした。
6月の世界選手権では、準々決勝でオビド・ジェボフ(タジキスタン)に敗れ、個人戦では約6年ぶりの黒星を喫した。ただすでに敗戦を受け入れており、5日の代表合宿では「あの負けでより隙がなくなったかな。負けたときこそ初心に戻れるし、ロス五輪で3連覇するためにどうしたらいいかを考えられた。いろんな部分でリセットされた。積み上げてきたものはなくならないけど、ある意味、ロス五輪3連覇に向けて1からスタートだなと思った」と語っていた。





