新入幕の日翔志 波瀾万丈28歳「辞めようと思ったこと多々」 頸髄損傷、父急死 埼玉栄で高校総体団体V「琴桜関と戦いたい」

 「大相撲秋場所」(14日初日、両国国技館)

 大相撲秋場所(14日初日、東京・両国国技館)の番付が1日、発表された。新入幕の日翔志(ひとし、28)=追手風=が部屋で会見。波瀾(はらん)万丈の相撲人生を振り返り、埼玉栄同級生の大関琴桜との対戦を目標に掲げた。

 日翔志は埼玉・草加市の部屋で会見し、「幕内に上がれると思っていなかった。辞めようと思ったことは多々あった」と感慨に浸った。

 東京・立川市から、大の里を輩出した新潟・能生中に相撲留学。3年の全中個人で3位に入ったが、直後に個人的事情で地元中学に転校。当初は高校に進まず、解体業で生計を立てるつもりだったが、埼玉栄・山田監督の誘いに応え進学した。

 日大卒業後は「覚悟がなかった」と力士の道には進まず、大学の事業部に就職。相撲部コーチの傍らアマ大会に出場したが、新型コロナ禍で大会が限られ、大相撲への情熱が湧き角界入りした。

 しかし序二段優勝した21年秋場所直後の稽古中に首を負傷。頸髄(けいずい)損傷で2カ月間、寝たきりとなり3場所連続全休。リハビリ中の22年3月に父・文男(のりお)さんが57歳で急死し「(父は)プロ入りに反対だった。背いて首をケガして…。おふくろが一人。自分が働かないと」と一時は引退を考えた。

 23年九州場所で新十両も1場所で幕下陥落。「1年で戻れなかったら辞めよう」と覚悟したが、高校先輩の大栄翔や湊川親方(元大関貴景勝)の激励を受け、十両復帰以降は3場所連続で勝ち越し。「体が大きくなり、圧力負けしなくなった」と新入幕をつかんだ。

 苦労人は「琴桜関と戦いたい」と高校総体団体優勝を一緒にけん引した同級生を目標に掲げた。父の墓前に報告予定と明かし「周りから、優しくなったと言われます」と、優しくも気合の入った瞳を見せた。

 ◆日翔志英忠(ひとし・ひでただ)本名・沢田日登志。1997年8月14日生まれ、東京都立川市出身、追手風部屋。埼玉栄高、日大から社会人を経て、21年夏場所初土俵。23年九州場所新十両。得意は右四つ、寄り。181センチ、157キロ。家族は母と兄。新潟・能生中3年で全中個人3位。高1、3年時に高校総体団体優勝。大学ではインカレ団体優勝。日大事業部就職後は全日本選手権に出場。

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