新体操 団体総合で初の金メダル獲得 分解危機から再結束 稲木も田口も西本も口にしたのは「感謝」
「新体操・世界選手権」(23日、リオデジャネイロ)
団体総合で日本(鈴木歩佳、稲木李菜子、田口久乃、西本愛実、花村夏実、三好初音)が同種目初の金メダルを獲得した。1975年と2019年の2位を上回り、4大会ぶりの表彰台。村田由香里強化本部長の威圧的指導問題が影を落とす中、快挙を達成した。2位のブラジルを0・300点上回った。3位はスペイン。ウクライナ侵攻に伴って強豪ロシアとベラルーシは出場できなかった。日本はリボンとボール・フープの両種目で8チームによる24日(日本時間25日)の種目別決勝に進んだ。
フロアで涙する選手もいれば、ガッツポーズで感情を爆発させる選手もいた。感極まってマットに口づけした鈴木主将は「やり切れてほっとした」と胸をなで下ろした。村田強化本部長の威圧的指導問題で一度は分解しかけたチームが、大一番で一つにまとまった。
最初のリボンで観客の心をつかんだ。沖縄からの移民が多いブラジルを意識し、選んだ勝負曲は「島唄」。6月の石垣島合宿では伝統舞踊「エイサー」の手の動かし方を学んだ。5人同時に高々と放り投げたリボンを、回転した後に両脚でつかんでフィニッシュ。そしてボール・フープで得点を伸ばした。
昨夏の五輪出場を逃した25歳の鈴木は「99%は引退」と気持ちが切れかけた。だが、パリで見せた他競技の日本勢の逆転劇に刺激を受けて翻意。その後の指導問題で選手が強化合宿から「脱走」したり、新チームから離脱したりした中、主将として再結束に努めた。度重なる聞き取り調査で練習に集中しづらい状況を憂慮し、10代の三好ら若手との対話に時間を割いてきた。
稲木も田口も西本も、口にしたのは「感謝」。低迷と混乱を乗り越え、高々と金メダルを掲げた。





