大の里の父号泣 「『信は力なり』ですよ」自身も相撲経験者、V決定時ガッツポーズ 2日目に休場危機も決断後押し

 「大相撲夏場所・千秋楽」(26日、両国国技館)

 新小結大の里が阿炎を破って12勝3敗で初優勝を果たした。初土俵から所要7場所目の初V。今年春場所の尊富士の10場所を上回る史上最速で、幕下付け出しでも1972年夏場所の輪島の15場所目を上回る史上最速優勝となった。

  ◇  ◇

 愛息の勇姿に涙腺は崩壊した。父・中村知幸さん(48)は、大の里の優勝が決まると大きく口を開け、両手でガッツポーズ。自身も相撲経験者で、幼少期から胸を合わせてきただけに「うれしい。賜杯を抱いてくれることを夢見ていた。『信は力なり』ですよ。(入門から)1年でこういうことになるとは思っていなかった」と誇らしげに語った。母・朋子さん(48)も「昨日から落ち着かなかった。わが子ですけど頼もしい」と涙。妹・葵さん(20)は「遠い存在みたい。自慢の兄」とほほえんだ。

 家族も陰で支えていた。2日目に黒星を喫した高安戦で足をひねっていた大の里。父には「痛い」と本音を漏らしていたという。「休場は考えてないのか?」とLINEで聞くと、返ってきたのは「休場するわけがない」と力強い言葉。それを聞いた知幸さんは「痛い足でも地に足を付けて頑張れ」と決断を後押しした。朋子さんは、初日に強運や厄除の御利益があるとされる小網神社に必勝祈願。自分のことのように緊張し、日に日に痛くなる腹痛をこらえながら、毎日息子の無事を祈っていた。

 大学で「プロは難しい」と言われたこと、学生横綱としてデビューして注目され続けたこと、先場所で優勝を逃したこと。逆境に立ち向かう姿はいつも近くで見守ってきた。つかんだ幕内最高優勝。「やられたらやりかえす男。歩んできた道はエリートと言われるけど彼は雑草。信念がすごい。それが彼の強みです」と知幸さん。一緒に手を上げて喜ぶ集合写真では、家族の笑顔がひときわ輝いていた。

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