日本相撲協会は３０日、大相撲夏場所（５月１２日初日、両国国技館）の新番付を発表し、大関琴ノ若（佐渡ケ嶽）は横綱で先代師匠の祖父のしこ名である琴桜に改名した。千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で会見に臨んだ琴ノ若改め琴桜は、番付に載ったしこ名に「不思議な感覚」と素直な心境を吐露。小学３年時に祖父と交わした大関昇進で琴桜継承という約束を果たし「先代に対して一つ約束を守れたのはよかった」と喜んだ。

　「琴桜」の名が番付に載るのは１９７４年名古屋場所以来で、実に５０年ぶりの復活。重みのあるしこ名にも、２６歳の大関は「名前が変わったからと言って何か変わるわけでもない。自分は自分。いただいたら、自分の名前だと思ってやっていくだけ」とこれまで通りの己を貫く構え。「先代に追いつけるように、そこがつかめる地位に来た。上に上がれるようにやっていきたい。もちろん、優勝を目指してやっていかないといけない」と、綱とりと初優勝への意欲を口にした。

　師匠で父の佐渡ケ嶽親方（元関脇琴ノ若）は「呼びにくいですよね。私の師匠ですから」と苦笑。「素晴らしいしこ名を先代からいただいた。花と言えば桜、相撲と言えば琴桜という、強い、愛される力士になってほしい」と期待した。琴桜の名と「心」の一文字が入った新しい化粧まわしも披露。三つぞろえを用意する横綱昇進を見据えたデザインにも映るが、同親方は「心」の文字を選んだ理由については「秘密です。私が決めました。ご想像にお任せします」とニヤリと笑い、含みを持たせた。