日本背泳ぎの第一人者・入江陵介 涙の引退会見「幸せだった」「パリで引退したかった」本音も

 北島康介氏(右)の登場に感極まる入江陵介(撮影・佐々木彰尚)
 ロンドン五輪競泳男子200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得し、記念撮影でポーズをとる入江陵介
 ロンドン五輪の競泳男子400メートルメドレーリレーで2位に入って大喜びする(上左から)松田、北島と、握手する藤井(下右)と入江=ともに12年8月(共同)
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 競泳男子で五輪に4大会連続で出場し、12年ロンドン大会では背泳ぎ2種目を含む3つのメダルを獲得した入江陵介(34)=イトマン東進=が3日、都内で引退会見を行った。3月のパリ五輪代表選考会で落選。「パリの地で引退したかった」と本音をのぞかせつつ、16歳から日の丸を背負った競技生活を涙ながらに振り返り、「幸せ」と何度も繰り返した。

 入江の中でさまざまな感情が入り交じった。「18年間、日本代表として戦えて幸せ。パリの地で引退したかった気持ちは強かったけど…最後のレースを日本で泳ぎ切れたのは幸せだった。水泳のない人生が思い浮かばない。ぽっかり穴のあいたような…寂しい気持ちもある」。言葉を紡ぐと自然と涙があふれ、声は震えた。

 背泳ぎで額にペットボトルを立て、落とさずに泳ぐ“世界一美しいフォーム”が武器。五輪に4大会連続、世界選手権には8大会連続で出場し、多くのメダルを獲得してきた。近年は世界の表彰台から遠ざかったが、日本背泳ぎの第一人者として若手の台頭を待ち望み、日本選手権10連覇など壁として君臨し続けた。

 3月のパリ五輪選考会。100メートル、200メートルともに若手に敗れて代表権を逃した。悔しさもあったが、同時に芽生えたのは“自分を超えてくれた”喜びの感情。「やり切った。自分の出番や場所はない」。現役引退の意志が固まった。

 今後は後進育成や、大学院進学を視野に入れる。数々の功績を残した“レジェンド”。プールを去っても打ち立てた背泳ぎ2種目の日本記録は、目標として次世代のスイマーに力を与え続ける。「たくさんのことを代表で学んでほしい。楽しむことを忘れずに、水泳を嫌いにならずに続けてほしい」。退場時に一礼して顔を上げた入江の表情は、晴れやかだった。

 ◆入江陵介(いりえ・りょうすけ)1990年1月24日、大阪市出身。0歳からベビースイミングを始め、中学から本格的に背泳ぎに転向した。近大付高、近大卒。100メートル、200メートル背泳ぎの日本記録保持者。世界選手権は8大会連続で出場し、五輪は08年北京大会から21年東京五輪まで4大会連続出場。12年ロンドン大会では200メートル銀、100メートル銅、400メートルメドレーリレーで銀メダルを獲得。日本選手権では100メートル、200メートルで10連覇を達成している。178センチ、70キロ。

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