創価大が謝罪 出雲駅伝出場のケニア人留学生がドーピング違反 榎木監督「指導・監督が行き届かず」 出雲成績は失効 経緯説明 7月にケニア帰国で購入した薬が要因か【全文】

 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、陸上男子のリーキ・カミナ(21、創価大3年)が日本アンチ・ドーピング規程に基づき、2023年10月12日から3年間の資格停止とすると発表した。創価大は同日、公式ホームページで本件について謝罪した。同選手は昨年10月の出雲駅伝3区に創価大メンバーとして出場していた。

 陸上競技部駅伝部顧問・副学長の神立孝一氏と陸上競技部駅伝部部長・理工学部教授の篠宮紀彦氏の連名で公式ホームページに「心よりお詫び申し上げます」と謝罪の声明を掲載した。

 創価大の声明全文は次のとおり。「創価大学陸上競技部駅伝部所属のリーキー・カミナ選手(経済学部3年、国籍:ケニア共和国)のアンチ・ドーピング規則違反が公表されました。このような事態を招いたことについて、日頃より本学陸上競技部駅伝部を応援してくださる方々、また、大会関係者および駅伝競技に関わるすべての方々、アンチ・ドーピング活動を推進されている関係者の方々に、多大なご迷惑とご心配をおかけすることになり、心よりお詫び申し上げます。

 これまでの経過についてご報告いたします。本選手は、2023年9月16日に行われた『第92回日本学生陸上競技対校選手権大会』のドーピング検査を受検しました。2023年10月12日にJADAより、検体から禁止物質(ナンドロロン[19-ノルテストステロン])が検出されたため、アンチ・ドーピング規則違反に該当する可能性があることから、同日より暫定的資格停止が課せられる旨の通知がありました。

 なお、2023年10月9日に行われた「第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走」については、通知が届く前であったことから出場しました。JADAからの通知を受けて、本選手に、禁止物質摂取の経緯について確認しました。本選手は2023年7月21日~9月5日に強化練習を実施するためケニア共和国に帰国していました。帰国して1週間ほどしてから、極度の疲労を感じ、身体に力が入らず、思うように身動きできないほどの強い倦怠感の症状があらわれました。実家から離れた場所で一人暮らしの生活をしていたため、友人に倦怠感を改善するための薬の購入を依頼し、薬局で販売されていた市販の薬20錠を紙に包まれた状態で受け取りました。結果として、受け取った市販の薬を薬品名や成分を確認しないまま、10日間にわたって1日2回服用しました。後日、この市販の薬について本人が調べたところ、おそらくDecabolinではないかとのことでした。

 本学産業医を通じ、専門家の見解を確認したところ、前述の市販薬を摂取したのであれば、それは、検出された禁止物質の前駆体(ある物質が生成する前の段階の物質)であるということがわかりました。薬を服用する際には必ず成分を確認するよう指導はしていましたが、ケニアに滞在していることもあり、日本のスタッフに相談しないまま、体調が悪かったため成分の確認を怠りました。このような事実確認を行った上で、本選手はJADAの手続きに従って弁明書を提出しました。その後、2023年12月11日に規則違反手続きを開始する旨の通知を受け、この対応について、本選手と協議を重ねた結果、本選手の禁止物質の摂取は意図的ではないものの、医療機関などで受診しておらず、処方箋などの客観的証拠を集めることは難しいと判断し、日本アンチ・ドーピング規律パネルによる聴聞会の開催は要求しないことを決め、2023年12月27日に本選手より「アンチ・ドーピング規則違反の自認と措置の受諾」をJADAに提出しました。2024年1月15日、JADAより「同意に基づく決定書」が届き、「2023年10月12日から2026年10月12日までの3年の資格停止」と「2023年9月16日【検体採取日】から、2023年10月12日【暫定的資格停止期間の開始日】までに獲得した個人成績の失効」等の措置が課されました。

 2024年2月15日にJADAより同決定書が公表され、規則違反および資格停止等の措置が確定しました。

 本学陸上競技部駅伝部として、これまで所属部員に対してアンチ・ドーピングに関する知識を理解する研修を実施し、サプリメントや薬の服用については成分表示を確認するなど細心の注意を払うことを徹底しておりましたが、今後二度とこのようなことを生じさせないため、下記のとおり再発防止に取り組んでまいります。なお、本選手は本学陸上競技部駅伝部での練習ができないため、現在ケニア共和国に帰国しております。

 全選手へのアンチ・ドーピングに関する知識・服用時のルールの再教育および理解度の確認に関する講習会を年2回実施する。

 外国籍選手には、運営ルールおよびドーピング防止に関する資料を母国語等に翻訳し、当該選手の理解度などを確認する。

 サプリメントや薬を選手が服用する場合は、監督・コーチ等に事前に確認する。また、必要に応じて監督・コーチ等を通じ、本学産業医に相談・確認する。

 外国籍選手が母国に帰国する際には、事前に監督・コーチ等が懇談し、アンチ・ドーピングに関する注意徹底および服用に際しての手順を確認する。また、帰国中にサプリメントや薬を服用する際には、事前に監督・コーチ等に薬の成分表をLINE等で送るなどして確認する。

 「英国LGC社」が運営するサプリメント認証プログラムである「インフォームドチョイス認証」のないサプリメントは使用しないことを徹底する。

 この度は、大学陸上競技において、アンチ・ドーピング規則に違反する事態を生じさせたことにつきまして、あってはならないことと深く反省しております。あらためて全国の大学陸上競技関係者および応援していただいた皆様に、多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを心よりお詫び申し上げます。チームとして再発防止策を着実に実施し、信頼の回復に努めるとともに、大学陸上競技のこれからの発展に寄与できるよう尽力してまいります」

 また、榎木和貴監督も謝罪文を発表。

 「この度、本学陸上競技部駅伝部員であるリーキー・カミナ選手のアンチ・ドーピング規則違反が確定し、日本アンチ・ドーピング機構による処分が下されました。本選手について、検体採取日の2023年9月16日から、2023年10月12日までに獲得した個人成績は失効になることから、9月16日の『第92回日本学生陸上競技対校選手権大会5000mの記録』、10月9日の『第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走3区』での記録は取り消しとなります。本選手の記録失効に伴う大会主催団体等からの措置については、厳粛に受け止めてまいります。

 日本学生陸上競技対校選手権大会、出雲全日本大学選抜駅伝競走の大会関係者、大学駅伝をはじめとした大学スポーツ競技界に多大なご迷惑をおかけすることとなり、関係者の皆様に残念な思いをさせてしまったことを大変申し訳なく感じております。

 禁止物質摂取の原因は先述のとおりですが、帰国中だったとはいえ、薬の成分を十分に注意することについて、指導・監督が行き届かなかったことをお詫び申し上げます。今回のことでは、本選手も大きなショックと責任を感じており、深く反省しております。

 本学陸上競技部駅伝部は、皆様の信頼を取り戻せるよう、再発防止策をチームとして徹底するとともに、一層の競技力の向上に取り組み、努力を重ねてまいります。

 創価大学陸上競技部駅伝部監督 榎木 和貴」

  ◇  ◇

 カミナは昨年9月16日の日本学生陸上競技対校選手権で実施された検査で、尿検体から禁止薬物のナンドロロンが検出された。選手の要請によりB検体を分析したが、同様にナンドロロンが検出された。カミナは検査結果や検査に至る手続き過程について争わなかった。

 規程により、検体採取日から暫定的資格停止期間において獲得されたメダル、得点などはいずれも剥奪される。日本学生陸上競技連合は同日、同件によるインカレと出雲駅伝の成績修正を発表した。カミナが3区で出場した昨年10月の出雲駅伝でチームは駒大に次ぐ2位に入ったが、チームの記録は失効。他大学の順位が繰り上がる。カミナのほか同大学選手の記録も失効となり、他大学選手の区間順位は繰り上がりとなった。

 カミナは昨年11月の全日本大学駅伝、今年1月の箱根駅伝には出場していない。

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