伊藤美誠、パリ五輪落選で号泣 栄光の東京五輪後は心身の歯車かみ合わず「五輪目標やめとけばよかったと思う瞬間あった」

 6回戦で敗れ、視線を落とす伊藤美誠(撮影・吉澤敬太)
 パリ五輪切符を逃し、涙する伊藤美誠(撮影・吉澤敬太)
 平野美宇(左奥)の前でポイントを落とし肩を落とす伊藤美誠(撮影・吉澤敬太)
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 「卓球・全日本選手権」(26日、東京体育館)

 パリ五輪代表選考の最終対象大会として、残り1枠を争う女子シングルスは6回戦が行われた。3番手で追う伊藤美誠(23)=スターツ=は、木村香純(トップ名古屋)にマッチポイントを握ってから、3-4でまさかの逆転負け。16強で散り、逆転での五輪切符獲得はならなかった。試合後の会見では終始、涙で声を詰まらせながら2年間の代表レースを振り返り「東京五輪が終わってからは、卓球は大好きだけど(パリ)五輪を目標にするのはやめておけばよかったと思う瞬間がいっぱいあった」と、体調不良やモチベーションに苦しんだことを明かした。

 心身の歯車がかみ合わないまま、伊藤のパリ五輪代表レースが終わった。東京五輪で3種目全てでメダルを獲得し、混合ダブルスでは日本卓球界初の金メダルをもたらした第一人者だったが、国内選考会が中心となったパリ五輪代表争いでは後手に回り、ついに完全復活を遂げることなく幕を閉じた。

 死力を尽くして勝ち取った21年夏の栄光の余韻に浸る間もなく、翌年3月からはパリに向けた代表選考会がスタート。「まだ目標を立ててない間に『パリ頑張ってね、優勝してね』と言われて、先に目標を立てられてしまって、わけの分からない気持ちになっていた」。東京五輪の絶対的エースも、選考会ではいきなり5位と出遅れた。その後も国際大会に転戦しながら、選考対象となったTリーグにも初参戦したが、海外とは使用球やプレースタイルが異なる国内選手との度重なる対戦にアジャストしきれないまま、疲労やダメージが蓄積。腰部の痛みに悩まされ、昨年末から今大会前にかけては咳に苦しみ、それによって肋骨(ろっこつ)にひびが入るなどの不調が重なった。

 時間をかけて、パリ五輪でのシングルス金メダルという目標を掲げたものの、選考レースで思うようにポイントを伸ばせず、選考大会の度に涙した。「大事な試合の前にどうしても体調を崩す機会が結構あった。(今大会も)耐えて耐えて耐えまくろうと思っていたが、最後耐えることができなくて、大きな目標としていた五輪は閉ざされてしまった」と唇をかみつつ、「でも最後までたたかえたことは本当によかった」と言い聞かせた。

 パリ五輪に向けては3枠目の団体戦代表に選出される可能性が残るが、シングルスでの日本初の金メダルを1番のモチベーションにしていただけに「私はずっとシングルスで優勝したいことを目標にしていて、団体戦に選出されても出るかどうかハッキリ決まってない」と辞退する可能性も示唆。「まずは落ち着いて、どこまで(現役を)やるかをしっかり考えたい。昔からの目標はいいところでやめたいのが1番なので、これで終われない気持ちはすごくあるんですけど、(これで)終わりたいって気持ちもある。でもいいところで終わりたいから、もう少し欲張って頑張ります」と、今後のキャリアについて複雑な心中を口にした。

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