田中希実19人抜き 15年大会ぶりの区間賞「いっぱい抜けて楽しかった」

 「全国都道府県対抗女子駅伝」(14日、たけびしスタジアム京都発着)

 2区で兵庫から出場した東京五輪女子1500メートル8位入賞の田中希実(24)=ニューバランス=が圧巻の19人抜きを見せて、小林祐梨子氏の持つ区間記録(12分7秒)に4秒差の12分11秒で区間賞を獲得した。前回大会に中学生区間の3区で17人抜きの区間新記録で注目を集めたドルーリー朱瑛里(16)=津山高=は岡山代表として憧れの田中と同区間を走り、8人抜きを披露。12分47秒の区間5位の快走を見せた。宮城が2時間16分30秒で29年ぶり2度目の優勝を果たした。

 都大路に世界レベルの走りを刻んだ圧巻の19人ごぼう抜きだった。59秒差の20位でたすきを受け取った田中は、「先頭を狙えないこともない」と冷静にスタート。次元の違うスピードで1人、また1人と追い抜いていき、2・6キロで先頭に立つと、その後は独走。中学生だった15年大会ぶりの区間賞に「初めていっぱい抜けて楽しかった」と笑った。

 テレビ中継の解説を務めた小林祐梨子氏は、普段から交流がある同郷の先輩で、2区の区間記録保持者。「祐梨子さんが見てくださってる」と憧れの存在の記録に挑戦したが、区間記録まではわずか4秒届かず。「最後まで粘れたけど、それでも抜けなかった。祐梨子さんの偉大さを改めて感じた」と、刺激を受けたレースだった。

 一方、同区間には自身に憧れるドルーリーがいるなど「気付けばシニア半ばの世代」と、自身の立場を実感する機会も増えた。レース後、ドルーリーからは「私も追いかけたいです」と真っすぐな言葉をもらい、「元気をもらいました」。世代を超えた大会ならではの交流を楽しんだ。

 1500メートルと5000メートルで出場を目指す今夏のパリ五輪へ、今後はケニアに武者修行に行く予定。「これをきっかけに調子を上げていけたら」。幸先のいいスタートを、勝負の夏への弾みにする。

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