“かなだい”村元哉中、高橋大輔組 2人そろっての引退は強い絆の証し

 フィギュアスケートでアイスダンスの“かなだい”こと村元哉中(30)、高橋大輔(37)組=関大KFSC=が1日、チームのインスタグラムを更新し、現役引退することを報告した。長年にわたって2人を取材してきた担当記者が「2人そろっての引退」に込められた思いを考察した。

  ◇  ◇

 故郷倉敷での幼少期。スケートリンクで見たアイスホッケーを「痛そう」と嫌った高橋が、代わりに興味を持ったのがフィギュアだった。多くの子供たちがジャンプを競い合う中でダンスやスケーティングに熱中した。それがシングル時代に「世界一」と呼ばれたステップにつながった。

 シングルから引退後の4年間、舞台でのダンスやタレント活動などにも挑戦した。しかし、日本男子初の五輪メダリストの栄光をかなぐり捨てるように選んだのが、アイスダンスでの現役復帰。それはまるで、一番楽しかったスケートの原風景を追い求めているように見えた。

 カップル結成を呼びかけたのは村元だった。先月の世界国別対抗戦。フリーダンス(FD)「オペラ座の怪人」で自己新を出したのがラストダンスとなった。村元が最後にアドリブで仮面をはぐポーズを入れたのは、高橋がシングルで演じた同曲のオマージュだ。

 ジャンプで得点を稼ぐシングルやペアと違い、アイスダンスは2人の同調性や熟練度が問われる。今年の世界選手権では日本勢最高に並ぶ11位。しかし、そこから上位との差は埋めがたい。3季を終えて「やればやるほどお互いがわかり合える」と話した高橋だが、シングル時代から膝などの故障を抱えた体は満身創い。これ以上の時間はなかった。

 30歳の村元はアイスダンサーとしての旬を迎えているが、高橋を最後のパートナーと考えていたのだろう。2人そろっての引退こそ、強い絆の証しに見える。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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