須山晴貴 「難易率」武器にパリの空へ飛び込む「五輪逃した借りは五輪で返す」

 飛び込みの男子板飛び込みに大注目の男がいる。18日に開幕した世界選手権(ブダペスト)代表の24歳、須山晴貴(栃木県スポーツ協会)だ。昨夏の東京五輪出場は逃したものの、悔しさを糧に2024年パリ五輪出場を目指す。24歳の記者は、かつて飛び込み選手で須山とは同世代。幼少期から成長を見てきたデイリースポーツ記者が須山の強さを語る。

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 飛び板をしならせ高く飛び上がるダイナミックな演技。高度な技の数々。須山は板飛び込みを主戦場とする選手だ。東京五輪は惜しくも出場を逃したが、昨年9月の日本選手権で優勝。世界選手権代表入りを果たすなど、パリ五輪出場へ実力は十分に持っている。

 競技と出会ったのは9歳の時。「空を飛んでみたい」と思ったのがきっかけで競技を始めたという。真面目で負けず嫌いな性格もあり、練習に没頭。全国大会で次々と表彰台に上り、12年世界ジュニアで8位に入賞した。一方で体の成長と共に故障も増え、ケガと戦いながら国内トップまで上り詰めた苦労人の一面も持つ。

 武器は世界レベルの高い「難易率」。難易率とは技の難しさを表す指標のことで、採点に関わる重要な要素だ。その数値が高いほど失敗のリスクも上がるが、成功すれば高得点が期待できる。

 つまり、須山の戦略は圧倒的な攻め。「難易率が高いのは世界では当たり前。日本ではなく、上に合わせないといけない」と理由を語る。さらに「もっと難しい技をやらないと」と、世界と戦うための新技習得にも意欲を見せている。

 記者は須山と同世代で幼少期から戦い、成長を隣で見てきた。高難度の技に挑戦するあまり、大会で0点を記録することもあったが、近年は失敗もあまり見られない。20年に記録した自己ベストは19年世界選手権5位相当の好スコア。攻めた演技は洗練され、安定した演技となり、世界と戦えるレベルまで成長を遂げている。

 東京五輪を逃した悔しさは今でも心に深く残る。「正直乗り越えられていない。夢にも出てくる。五輪を逃した借りは五輪で返さないといけない」と人一倍パリ五輪に懸ける思いは強い。「メダルを取りたい。ここで辞めてしまったら、それまでの人間で終わってしまう」。追い求める夢舞台まで残り2年。一直線に突き進む。(デイリースポーツ・谷凌弥)

 ◆須山晴貴(すやま・はるき)1998年3月9日。島根県松江市出身。小学3年から飛び込み競技を始める。中学3年で世界ジュニア選手権8位入賞。松徳学院高3年でインターハイ2冠を達成した。島根大学に進学し、19年ユニバーシアード代表入り。21年4月から栃木県スポーツ協会に所属。同年日本選手権で初優勝を果たす。176センチ、75キロ。

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