内村航平 異例の引退式3年ぶり6種目完遂「幸せな体操人生」キングの血伝承へ

 演技を終えて笑顔を見せる内村航平
 胴上げをされる内村航平(撮影・堀内翔)
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 「KOHEI UCHIMURA THE FINAL」(12日、東京体育館)

 体操男子で世界大会8連覇、個人総合40連勝など数々の偉業を成し遂げた“キング”内村航平(33)=ジョイカル=の現役最後の舞台となる演技会が行われた。日本の体操選手としては異例となる引退イベント。3年ぶりに6種目を完遂し、偉大なるキャリアに終止符を打った。今後は「体操というジャンルのすべてにおいて関わっていく」と体操の“伝道師”として、後進の育成や体操競技の普及、そしてさらなる技の追求にも取り組んでいく考えを示した。

 思い描いていたエンドマークではなかった。内村にとって、選手生活最後の演技となった鉄棒。“宝刀”H難度ブレトシュナイダーは何とかつかんだものの、車輪にうまくつなげられず、代名詞の着地はわずかに左足が一歩後ろに動いた。

 浮かんだのは苦笑い。「僕としてはみっともない演技だった」。数々の栄光をつかんできた生ける伝説を持ってしても、究極の演技にはたどりつけない。ただ、33歳は知っている。それが体操だと。リオ、東京五輪代表の仲間たちに抱えられ、6度宙を舞った後、「幸せな体操人生だった」と、笑った。

 門出の日は、体操界にとって、革新的な一日となった。日本の体操界では異例となる引退興行。選手の息づかいが聞こえるほど観客席から近い器具セッティング、計3つの大型ビジョンに、きらびやかなライトアップによる演出。これまでの体操競技では見られなかった異空間の中で、最高の時間が進んでいった。3年ぶりの6種目完遂。すべての着地は1歩以内にまとめた。すべての未練を昇華させた後、激痛が体を駆け巡った。「終わった瞬間から全身が痛い。辞めて良かった」。完全燃焼だった。

 今後については「体操のことは自分がすべて知っておきたい。研究や、より分かりやすく後輩たちに技術を教えていくこと、体操の普及、価値の向上もそう。そういうところに貢献していきたい。体操というジャンルすべてにおいて関わっていけたら」と語った内村。おそらく人類で最も体を自在に操れる男。競技者としての区切りはついても、究極を追い求めていく。

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