荒磯部屋が部屋開き 元横綱稀勢の里の荒磯親方「自分でなく力士が目立つように」

 荒磯部屋の初稽古で弟子に胸を出す師匠の荒磯親方(左)=日本相撲協会提供
 荒磯部屋の初稽古で弟子に胸を出す師匠の荒磯親方(左)=日本相撲協会提供
 荒磯部屋の初稽古で弟子を指導する師匠の荒磯親方=日本相撲協会提供
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 大相撲の荒磯親方(35)=元横綱稀勢の里=が1日、田子ノ浦部屋から独立し、茨城県に創設した「荒磯部屋」の部屋開きを行った。現在は“仮住まい”で同県筑波大学内の稽古場で4人の弟子と汗を流す。新部屋は出身地の同県牛久市に近い阿見町に建設中で、来年夏場所後の完成を予定している。

 師匠としてスタートし、荒磯部屋の初稽古を終えた後、リモート取材に応じた。

 稽古では2時間半、四股、すり足など基礎運動で弟子を追い込んだ。まわしを締め、自らも土俵に下り胸を出した。

 新たな門出に親方自身のテンションもマックス。「気合が入ってしまった」と何と、序二段の西原を指名して三番稽古(同じ相手と続けて何番も取る)。

 「あっちも必死に来たのでね。いい稽古になった。早く自分に勝てるようになってほしい」とニヤリ。引退して2年半になるが、まだ元気いっぱいだ。

 「いよいよ始まる。(これまで)大勢で稽古していた。3、4人で稽古するのは違和感があるけど初日からいい稽古ができた」と充実の表情を浮かべた。

 同親方は引退後、早大大学院に進み相撲をテーマに研究し修士論文も書き上げて卒業した理論派。約1年、土俵を借りる筑波大とは、相撲を科学的に追究する共同研究を行うことも進んでいる。

 「科学的に体の動き、呼吸の使い方を見る。自分は横綱までいったけどまだ分からない。(筑波大は)そういう施設がすごい。立ち合いに関しても横綱までいったけど物足りないものがあった。20パーセントも出ていない。早く出ることが強さじゃない。思うところを確信に変える。データが教える。経験と新しいものを取り入れて指導していけば自分以上に強い力士が出てくる」と、今後の指導に生かす。

 一方で現在、3人の新弟子には基礎運動を徹底してたたき込む。「土台がないと伸びしろがない。これだけ相撲の歴史がある中で基礎運動が行われてきた。科学的にいいのかな。基礎を追求していくと先が見えてくると思う。基本を突き詰めていく」と相撲界の基礎、四股、すり足、テッポウが今後も土台となるのは変わらない。

 中学卒業後に入門しすべてを教わった先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)と同じ、師匠になり、気も引き締まる。「大事なお子さんを預かっています。強くする責任がある。やりがいがある。(先代師匠から)10年鍛え上げられたものがある」とうなずいた。

 来春に完成する新部屋は広大な敷地を使い、土俵を2面設置するなど斬新なアイデアを盛り込んだ。「自分のやりたいように伸び伸びできるように。あれもこれもほしい、あれもこれもしたいと思ったことを入れ込んだ」と言う。両国国技館まで“通勤”は2時間かかるものの、相撲に集中する最高の環境を築き上げていく。

 「自分が目立つ部屋は良くない。自分でなく荒磯の力士が目立つようになることが荒磯の隆盛になる。自分の存在が分からないくらいの力士が出てきてほしい」と願った。

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