悲願成就の萱 混迷の東京五輪への思い「五輪がなくても大好きな体操は辞めない」
「体操・NHK杯」(16日、ビッグハット)
東京五輪代表選考会を兼ねて男子が行われ、全日本選手権覇者の橋本大輝(19)=順大=が合計259・530点で初優勝を飾り、東京五輪代表に内定した。0・136点差の2位に入った萱和磨(24)=セントラルスポーツ=も五輪切符を獲得した。橋本、萱とも初の五輪代表入り。団体残り2枠は、6月の全日本種目別選手権(高崎)までの成績で、チーム貢献度の高い選手2人が選出される。鉄棒に絞り、個人枠で五輪を目指す内村航平(32)=ジョイカル=は、ミスのない演技でトップの15・333点をマークし、4大会連続五輪切符へ前進した。
萱は補欠だったリオ五輪からの思いをすべてぶつけ、昇華させた。演技ごとに拳を振り上げ、そしてほえた。この日だけの得点ではトップスコアをマークし、全日本3位から逆転で悲願の五輪切符。「泣かない」と決めていた。それでも思いはあふれた。「こんなとこで泣いてる時点でまだまだ」と目を拭った。
異名は「絶対に失敗しない男」。この5年間、世代交代が進む中で、常に代表に入り続け中心を担ってきた自負がある。
焦がれ続けた夏。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、開催の是非を問う声は絶えない。代表選手インタビューで、自ら切り出した。
「世間では五輪に対して色んな意見がある。選手にもそういう意見を求められたりするけど、僕たち選手はただ練習するだけ。大好きな体操をしっかり続けて準備することしかできない。五輪はなくても、大好きな体操は辞めない。常に準備して頑張っていくだけ。どのような結果が待っていても、真っすぐ前を向いて頑張りたい」-。